2017年2月20日月曜日
ヴィオラに風が吹いている
このクールはこのドラマを観るのを楽しみにしていた。家ではすっかりチャンネル権を奪われているので、ドラマのように毎週観ないといけない番組を観ることはほぼなく、まして、同じ時間に嵐のメンバーがメインパーソナリティをしている番組があるのだから、もう観られないものと諦めていたのだが、奇跡的に観ることができた。
このドラマでヴィオラを弾いている高橋一生という俳優が結構ブレイクしているようなのだ。ヴィオラに吹く追い風を感じる。いつも心無いヴィオラジョークの逆風に晒されている身にとって、こんな心地よい風を感じることはない。
このドラマの設定が、ある日、カラオケボックスで「偶然」出会った4人の弦楽器奏者がカルテットを組むというもの。まずここで、カラオケボックスで弦楽器の練習をするということが当然のこととして描かれている。ヴァイオリンケースを担いでカラオケボックスに行き、ひとりでフリータイムを申し出て、店員に嫌な顔をされた経験のある方は少なからずおられることだろう。時には断られることもある(大手Jカラオケ店は駄目らしい)。それがこんな風にごく自然にドラマの中に描かれているのだ。もうこれで何もビクビクせずに堂々と練習ができるというものだ。
ちょっと補足だが、プロ奏者がカラオケボックスで楽器を弾くのは別に珍しいことではないようだ。筆者は8年前に、すでに宮本笑里がカラオケボックスでヴァイオリンを弾くのを知っていた。
http://6109.jp/emirimiyamoto/?blog=58777
けっして、筆者の隣の部屋で弾いていたとか、筆者が宮本笑里にストーカー行為をしていたわけではないので誤解なく。
そして、この高橋一生が演じる家森という男は、カルテットのメンバーの中でいちばん理屈っぽい。これはヴィオラ奏者に対するステレオタイプなのか。いやそうでもあるまいが、この理屈っぽいところがコミカルというか、結構ポジティブなイメージで描かれている。第一話の有名な「唐揚げにレモン」、第二あ話の「言葉と気持ちは違う」、第三話の「ボーダー被ってますよ」。いずれも、ドラマ全体のストーリーにちょっとしたスパイスをかける伏線になっていて、さらっと聞き逃すことができない。そして第三話の「学級崩壊」と「パチンコ屋」の話のうち、学級崩壊は第五話に見事に繫がっていく。
…あ、つい興奮してしまった。これ、ドラマを観ていない人には何のことかわからない話だが、こういうマニアックな話をさも一般的に誰もが知っているべきことのように話すことが、このドラマの中では前向きに(少なくともありがちなこととして)描かれている。
そして第四話はヴィオラ奏者の家森を中心にストーリーが展開する。音楽で生きる夢を追いかけるために定職を持たないことが理由で妻に離縁された家森が、ヴィオラを叩き壊そうとするのを元妻に止められ「あんたはそれでええんとちゃう」と言われる。二度と会うことがない子供との別れ。そのまえに子供にヴァイオリンを教え、ステージで二重奏をする。なぜヴィオラではなくてヴァイオリンを教えるのか。そこにヴィオラ奏者の悲哀が隠されていることに気づいた視聴者はそんなに多くはあるまい。
主演はファーストヴァイオリンの巻真紀を演じる松たか子なのだが、高橋一生が演じるヴィオラ奏者、家森の存在感は大きい。バラエティー番組への出演なども結構多く、かなりブレイクしているような印象だ。ここは大きな声で言っておきたい。
ドラマ カルテットで高橋一生が弾いているのは
ヴァイオリンではなくてヴィオラです。
見た目で区別がつかない人は番組ホームページでとか、こちらのページで確かめてください。
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