ライブハウスでジャズを聴いてきた。
ヴィオラのレッスンを受けているスタジオで、ヴォーカルの指導をされている先生と、発表会のときにヴォーカルの方のバックピアノを弾かれた方のデュオ。杉山悟史さんというピアニストは、前回の発表会でも演奏されていたので、てっきりヴォーカルの先生といつもデュオをされているのかと思っていたのだが、今回のライブが初めてのデュオだそうだ。スタジオの発表会が縁になったようだ。デュオの動画はないが、こんな演奏をされる。
ライブハウスというところにほぼ行ったことがないので、まずはどんなカッコで行くかから問題。めっさオシャレなイメージを持っていたので、梅田のホストみたいなカッコでないと浮くのか、なんて思って、会社の女の子に聞いてみると、反対に「梅田のホストってどんなカッコしてるイメージなんですか」と聞かれる。そりゃ、細身の黒のスーツに単色の細いネクタイで、頭髪ワックス、靴も無駄につま先の長いやつ、いやシャツは黒か、いやジャケットじゃなくてベストだったりするのか、などなどと、思いつくままにイメージを伝えると、「それじゃ店員さんに間違えられますよ」とのこと。しかし、ホストには間違えられることはなさそうだ。
隣町の瀟洒なライブハウス、といっても、ほかのライブハウスと比較しているわけではないが、このライブハウスの主もミュージシャンらしく、そういういみでは演奏する人の気持ちもわかって、お客さんにこんなふうに楽しんでほしいという思いも、演奏者と共有できるのだろう。陣取った席は、ピアニストの指先が良く見える左端の席。お客さんは10人ほどで、残念ながら「多い」とはいえない。しかし、その分、演奏者と濃密に絡み合うようなライブだった。
クラシックの曲の場合、最初の音が流れると、あとは予定調和のように、曲が最後まで流れていく感じがする。音の組み合わせなんて無数にあるはずなのに、それはそれで不思議に思うこともあるのだが、ジャズの場合は、先がまったくわからない。演奏家同士も、何か最初から決まった演奏をするのではなく、お互いが、まるで会話をするように、例えば、ピアニストが間奏の終わるタイミングをじらしてきたり、ヴォーカルが原曲にないようなフレーズを歌いだしたり、お互いが何かを仕掛け合うような、そんなステージだ。それが聴いているこっちにも何となくわかる。
ちょうどこんな感じだ。
子供の頃、親戚のお兄ちゃんが家に来て、ふだんは誰も弾かないピアノを鳴らし始める。それを聞いた叔母さんが、いつのまにかピアノの部屋にやってきて、子供の自分が今まで聞いたこともない歌を歌いだす。歌詞も英語だから意味も分からない。なのに、その空間に吸い込まれるような感覚。いつもみたいに「遊んで」といわなくても、ただ聴いているだけなのに遊んでもらっているような感覚になっていき、いつの間にか「他のもやって」なんてことを言っている。
そういう感じだった。
ええわぁ~
大人の遊び、って感じ。