2020年7月24日金曜日

弦楽器のメンテナンス いろいろ

  この数ヶ月の間に、弓毛の交換、数回にわたる弦の交換、松脂のメンテなど、楽器のメンテナンスに随分、手間と費用を掛けてきた。どれも必要に迫られてやっているのだが、やってみていろいろ分かったことがある。
 ひとことでいうと
 メンテナンスはだいじ
ということに尽きるのだが、どう大事なのかが身をもって分かった。素人が勝手にそう思っているだけなので、実は違うぞ! ということもあるかもしれないが、きちんとメンテナンスしていない楽器だと、たぶん変な癖がついてしまうと思う。

 もともと弾いていて、なんか弾き難さを感じていたのだが、実際に弾いた音を録音してみると、演歌のような「ため」と「こぶし」が気になる。先生曰く、「長い音を、最初から最後まで同じ音量、同じ音色で弾くのはなかなか難しい。」 改めてロングトーンの練習なんかをしてみるのだが、弓を返す時にグッと圧を掛けないと最初の音が出ない感じ。それを何とかしようと松脂を塗りたくっているせいか、常にギロギロとした音になる。

 弓毛を換えて、弦を換えて、まったく別の楽器のように軽快に音が出るようになったのだが、まだ何となく弦の上で弓が滑るような感じがする。あとは松脂か、とおもって、使い込んで表面がざらざらになった松脂をライターで炙り、新品のような琥珀色半透明の滑らかな表面にして塗ってみると、最初はあまり違いが分からなかったけれど、そのうちに、いい感じに引っ掛かるようになってきた。

 そして何度も弦が切れて、何度も交換すると、なんとなく交換前と交換直後の弾き心地の違いが分かってくる。交換してすぐのときは弦の上で弓が滑る。松脂をしっかり塗って弾き続けているうちに、だんだんと引っ掛かりがよくなってきた。

 それでたぶんこうなんじゃないかなと思ったのだけど、弓毛に塗った松脂は、弾いているうちに弦の表面に擦りつけられて、それが摩擦の熱でいい感じに変質して、上手い具合に弦をコーティングし、そこにまだキューティクルが鱗のようにしっかりついている馬の尻尾に、琥珀色の松脂を塗って擦ることで、いい具合に音が出るのではないか。この弦の表面のコーティングの具合がポイントのような気がする。弾いた後でどれだけ丁寧に松脂を拭き取っても、弾き込んでいるうちにだんだんコーティングが厚くなり、本来の弦と弓毛が接しなくなってしまう。だけどコーティングがないのも駄目で、この塩梅がちょうどいいときが最高の音になるのではないか。

 弦は、交換した直後はチューニングが難しく、いっかい合わせてもすぐに伸びてしって音程が下がる。交換から1週間ほどが経って、やっとそれもマシになってきて、練習の初めにチューニングすればその日はあまり目立って下がらないようになった。それでいつものようにロングトーンの練習をしてみるのだが、これが殊の外いい感じに弓を返すことができる。
これ、これ、この感じ
たぶん、弦は交換してから1週間とか10日目ぐらいが最高にいいような気がする。2日に1回ぐらいのペースで、1回1時間とかの練習時間だったら、という前提だけど。毎日何時間も弾く人なら、最初の日のうちに弦の表面に上手く松脂がコーティングされるのかもしれない。弓毛も最初は松脂の乗りがわるいというから、もし発表会とかのためにメンテするんだったら、1ヶ月前に弓毛の交換、その1週間後に弦の交換、その後1週間はチューニングとかに苦労して、そのあと2週間はベストコンディションで最後の仕上げ、なんて感じかな、なんてことを思った。
 もちろん、メンテナンスのわるい楽器で練習すると変な癖が付くので、そうなる前に弓毛も弦も交換しないといけない。発表会が2年に1回だからといって、2年に1回、発表会前にメンテナンスするというのはちょっと駄目かも。

2020年7月16日木曜日

ぜったい、なにかおかしい。

 A線が切れてしまって、仕方なくG線上のアリアとか、本当なら1ポジだけで弾けるはずの簡単な曲をD線でポジション上げてとか、なんだか消化不良なレッスンを受けて、注文していた替え弦が来るのを待つ。水曜日に黒猫さんが届けてくれた。
相変わらず早い💖。
 さっそく~、と言いたいところだが、水曜日はリアル出勤&残業で張り替えもできず、本日木曜日に。今日は在宅勤務なのだが、はやる気持ちを抑え、お昼ご飯を食べた後に弦を張り替え、定時までは仕事に勤しむ。
 すると突然


 バン💥


 と、独特の爆発音。普通の爆発音はいろんな周波数の音が混じり合った不協和音なのだが、いま聞いた音はどこか和声を感じさせる。「ファーン」と余韻を残すような、いままで聞いたことのない、いやどこかで聞いたことのあるような、とにかく独特の音だった。驚いて音がした方を見てみると、そこにはさっき弦を替えたばかりのヴィオラが。
 
一瞬、いま張り替えたばかりの弦がいちども音を出さないうちにまた切れたのかと思ったが、いやいやよく見ると、テールピースに嵌めているポールが外れている。さっき張り替えた時にちゃんと嵌まっていなかったのか。まぁでもよかった。あとでもう一度張り替えればいいさ、と思って仕事を続ける。

 するともう一度、

 バン💥

 やれやれ、張り替えのときにテールピースをどうかしてしまったのだろうか。気にはなるのだが今は仕事中。在宅勤務だからといって勤務時間中に私事を挟むことは出来ない。

 仕事が終わったので、やれやれもう一度張り直しか、とヴィオラを見てみると、ポールが外れたのはお昼に張り替えたA線ではなく、C線とG線だ。反対側から見ていたので勘違いしていた。いったい何故外れたんだろう。よく見ると糸巻き箱の中で弦が緩んでいる。それをみて、ペグが回ったのかと思ったのだが、さらよく見ると弦の一部が伸びている。要するに切れたのだ。

 なぜ1時間のうちに2本も。
 それも切れにくいはずの太い弦が。
 そして値段の高い方の弦が。
 
 ネットで弦の張り方を調べてみると、ナットと駒についている溝のところに鉛筆で色を塗って弦を滑りやすくする、なんてことが書いてあった。いままでそんなことはしたことがない。それが原因か。それとも長引く梅雨の湿気の所為か。梅雨はどうしようもないが、とにかくできることはやっておこう。芯の柔らかい鉛筆を持ってきて溝の上に芯を擦りつける。これで滑りやすくなるのか。

 それにしてもこれはおかしい。
 先週切れたA線は2本買ったので、あと1本予備がある。D線も切れていないので1本予備がある。G線とD線は予備に張り替えたので、次に切れると予備はない。

 こうなったら、弦の種類を変えてみようか。
 ちょっと思案のしどころか。
 

2020年7月10日金曜日

3カ月連続の悲劇

 熱心な読者諸兄(そんな人がいるのかどうか知らないが)には既視感のある画像だと思うが、また弦を切ってしまった。

 4月に、それまで2年以上使っていた弦が、さすがに劣化してしまって、ちゃんとした音が鳴らなくなったので交換。良く鳴るようになった。たまたまコロナ騒ぎと重なって、職場は閉鎖。在宅勤務で通勤時間がなくなった分、練習時間が確保できた。人生上り坂ふふふーん♪
 ところが1ヶ月もしないうちにA線が切れる。これ、もしかして下り坂? しかしそんなこともある。やっぱり予備の弦は常に持っておかないと、と前月に張り替えたのと同じ弦を1セット買い増し。そのときA線だけは2本買っておいた。
 ところが、また1ヶ月ほどでA線が切れてしまった。やはり予備の弦は持っておくべきだ。2本買っておいてよかった。前月は切れてから注文したので、3日ほど(それでもよくぞこんなにすぐに届けてもらったものだが)A線なしの練習を強いられたが、今回は予備の弦があるのですぐに交換。練習時間のロスを最小限にできた。
 ところが、前回の交換からまだ半年ほどしかたっていないのに、また弦が切れてしまった。
♪そーおーね人生は・・・まさか~♪
 ↑ 伝わる人には伝わるんじゃないですか?

 明日はレッスン。
 仕方がないのでG線上のアリアを診てもらおうか。