2022年10月23日日曜日

定期演奏会レポート

 終わりました。

 いや~楽しかった。

 途中の休憩時間。後半はあと2曲。なんか、サザエさんが始まった時みたいな感じだなぁ、なんてことを呟いていたら、そうそう、とみんな頷いている。楽しい日曜日が、あとサザエさんとフランダースの犬(いゃ別にハイジでもいいんだけど)を見たら終わりか~ って感じ。そして、その後半のステージも終わったあとで、「いい遊びやと思わへん?」という人もいる。まさにその通り。キャンプとかゴルフ(ぼくはしないけど)とか1日やって、快く疲れた感じ。いつになく血の巡りがいいように思う。

 午前中のゲネプロでボウイングの指示が出る。他のパートはもう少し前からボウイングを合わせていたのだけれど、ヴィオラには明示的な指示がなくて、客演で入ってくださる先生のボウイングを見ながら、コソコソッとリハーサル中にボウイングを書き留めたりしていた。それがゲネプロで細かく、ここは上げ弓、ここからここまではスラーと指示が出る。全部じゃなくて、特に気になるところだけを仰っておられるのだけれど、そんな直前に言われて、言われた通りできるかしら、なんて思いつつ、実際にやってみると意外とできた。そのボウイングが自然なのかもしれない。

 これもいまさらだけれど、ロッシーニの苦労していたフレーズについて、こういうのってどうやって練習したらよかったんですかね、と訊いてみる。これは難しいですから、弾けなかったら最初の音だけ弾けばいいですよ、とのこと。まあ、本番の日の午前に訊いているのだからそうとしか答えられないところなんだけど、いやそうじゃなくて、もしこれ1か月前だったらどうご指導されます? と訊くと、これだけパターンがばらばらだったら目で追うのは難しいから、楽譜にドレミを振って覚えるとか、少しでもパターンが同じところに印をしておいて、そのパターンのところだけ練習するとか、いろいろご指導いただいた。実際、私の譜面にはドレミが振ってあるし、パターンが同じところには印をつけていたりするので、「やってはるじゃないですか」とお褒めいただいたのだが、いや、やってもできないんですよ。結局、本番は最初の音だけを弾くことになった。けっして最初からそうしたわけではないけれど、結果的にそうなった。

 コロナの影響で通常の客席は使えず、パイプ椅子を100席ほど間隔を空けながら並べて客席を作った。それが満席で、椅子を数十席追加した。若い人も中にはいた。

 夏休みの宿題で作った曲の紹介は、メンバーの方が立派なパンフレットに仕上げてくださった。カラー印刷だし、厚手の紙だし、かなりおカネがかかっているように見えるのだけれど、ネットプリントを使うとそれほどかからないらしい。

 前日のリハーサルからホールで弾いているので、ホールの響きにも少しは慣れてきた。周りの音が聞こえにくかったのだけれど、本番では、隣で弾いているエキストラの方(プロ野球の助っ人外人みたいなもので、演奏会の成否は実はエキストラさん頼み)だとか、どきどき前の先生の音も聞こえてくるようになった。「よく聞こえますよ」と言うと、「私も聞こえてますよ。ロッシーニのあそこ、最初の音だけ弾いていたでしょ」とのお返事。バレていたか。チェロの人からも、ヴィオラがよく聞こえると仰っていただいた。ただ私の音がよく聞こえているのか、他の方のヴィオラの音が聞こえているのかは定かではないが、あるいは、「あそこちゃんと弾いてないでしょ」という含意があるのか。

 ともあれ、楽しかった。たぶん、これだけのメンバーがステージの上で同じように呼吸をしていたのだと思う。そして、客席の人の中にも同じように呼吸をして、私たちと同じように血を巡らせていた人がいるのだと思う。時間と場所を共有するというのは、きっとそういうことなんだと思う。まだまだいろいろ制約のある中での開催だったけれど、開催できてよかったと思う。

2022年10月19日水曜日

オンブレブンビンバ

 


 いよいよ今週末に定期演奏会が近づいてきているのだが、相変わらずここが弾けない。もう仕方がないので「弾かない」という選択肢もあるのだが、決定的に難しいフィンガリングがあるわけではない。楽譜を追いながら咄嗟に指が出ないだけなのだ。

 そこで解決策を考えた。

 楽譜を追わないで弾く

 いやもうこれしかない。これで弾けなかったら弾いているふりだけしよう。楽譜を追わずに弾くということは暗譜だ。

シレ#ソ ドミラ ドレ#ファ シレ♮ソ シレ♮ソ #ドミソ #ドミソ レ#ファラ

こんな調子で、20小節ほど音階をノートに書きだして、それを本に挟んで、電車の中で呪文のように唱える。もちろん声は出さない。口は動いているかもしれないが… 繰り返して唱えると、何かの呪文みたいだ。何かいいことが起こる呪文だったか、元気が出る呪文だったか…

 さすがにこれは効果絶大。少なくとも上に書いた4小節は、寝床で何も見なくても唱えられるようになった。だから弾ける、というわけではないが。

 暗譜がいつの間にか暗唱になっている。

2022年10月15日土曜日

古いリュートのための舞曲とアリア

 アンサンブルに入っているおかげでご縁のできた演奏会を聴いてきた。
 うちのアンサンブルは、本番になると、先生がご指導されている大学の学生さんやら卒業生さんやら、先生つながりでご縁のある別の先生がエキストラに入ってこられる。そのようにしてご縁のできた先生が、隣町で指導されている音楽教室の生徒さんを中心とした演奏会だった。教室のホームページを拝見すると、弦楽器だけではなく、いろいろな楽器のレッスンが受けられるらしいのだが、今回は弦楽器と、ヴァイオリンを弾いておられた方がおひとりソプラノも披露してくださった。残念ながらヴィオラを習っておられる生徒さんはおられないようで、うちのアンサンブルからも何人かがヴィオラのエキストラに入っていた。
 ステージの上は約20人。半分ぐらいは先生かエキストラだったが、演奏された曲はなかなか興味深い曲ばかり。来週の定期演奏会で弾く曲、以前にうちの定期演奏会で演奏されたけれと自分は会社の事情でステージに載れなかった曲、私がヴィオラを弾くきっかけになった曲などなど、個人的な思い入れのある曲も多かった。
 表題の「古いリュートのための舞曲とアリア」は20世紀の前半に活躍したレスピーギの曲。作曲者の名前は初めて聞いたが、どこかで聴いたことのある曲だった(動画は別の方が弾いているもの)。
 ちょっと難しそうだけれど、結構いい。ヴィオラが終始聴かせどころを弾いている。

 見ていて思ったのだが、やはり目の前で楽器を弾いているというのは説得力がある、というか、CDやYouTubeで聴くのとは違う楽しみがある。演奏している人の気持ちがダイレクトに伝わってくる。最前列で弾いておられるのは、それぞれプロなのだが、無理な動きがまったくなく、そうかといって腕と指だけで弾いているわけではなくて、見ている人を誘い込むような弾き方をされておられる。聴いていて、知らず知らずのうちに、演奏している人と同じように身体が動いているような、演奏している人と同じように呼吸をしているような、身体の中の血が演奏している人と同じように巡っているような感じがしてくる。どういえばいいのかわからないけれど、なんとなくそんな感じ。たぶん、生徒さんが見ているので、身体全体で合図を出すつもりで弾いておられるのだろう。普段ご指導いただいている先生が目の前で自分と同じ旋律を弾いている。そういう安心感の元に弾いておられるのが、また伝わってくる。
 さぁ、来週はうちの定期演奏会。うちもこんなふうに弾けるとよいのだが。