終わりました。
いや~楽しかった。
途中の休憩時間。後半はあと2曲。なんか、サザエさんが始まった時みたいな感じだなぁ、なんてことを呟いていたら、そうそう、とみんな頷いている。楽しい日曜日が、あとサザエさんとフランダースの犬(いゃ別にハイジでもいいんだけど)を見たら終わりか~ って感じ。そして、その後半のステージも終わったあとで、「いい遊びやと思わへん?」という人もいる。まさにその通り。キャンプとかゴルフ(ぼくはしないけど)とか1日やって、快く疲れた感じ。いつになく血の巡りがいいように思う。
午前中のゲネプロでボウイングの指示が出る。他のパートはもう少し前からボウイングを合わせていたのだけれど、ヴィオラには明示的な指示がなくて、客演で入ってくださる先生のボウイングを見ながら、コソコソッとリハーサル中にボウイングを書き留めたりしていた。それがゲネプロで細かく、ここは上げ弓、ここからここまではスラーと指示が出る。全部じゃなくて、特に気になるところだけを仰っておられるのだけれど、そんな直前に言われて、言われた通りできるかしら、なんて思いつつ、実際にやってみると意外とできた。そのボウイングが自然なのかもしれない。
これもいまさらだけれど、ロッシーニの苦労していたフレーズについて、こういうのってどうやって練習したらよかったんですかね、と訊いてみる。これは難しいですから、弾けなかったら最初の音だけ弾けばいいですよ、とのこと。まあ、本番の日の午前に訊いているのだからそうとしか答えられないところなんだけど、いやそうじゃなくて、もしこれ1か月前だったらどうご指導されます? と訊くと、これだけパターンがばらばらだったら目で追うのは難しいから、楽譜にドレミを振って覚えるとか、少しでもパターンが同じところに印をしておいて、そのパターンのところだけ練習するとか、いろいろご指導いただいた。実際、私の譜面にはドレミが振ってあるし、パターンが同じところには印をつけていたりするので、「やってはるじゃないですか」とお褒めいただいたのだが、いや、やってもできないんですよ。結局、本番は最初の音だけを弾くことになった。けっして最初からそうしたわけではないけれど、結果的にそうなった。
コロナの影響で通常の客席は使えず、パイプ椅子を100席ほど間隔を空けながら並べて客席を作った。それが満席で、椅子を数十席追加した。若い人も中にはいた。
夏休みの宿題で作った曲の紹介は、メンバーの方が立派なパンフレットに仕上げてくださった。カラー印刷だし、厚手の紙だし、かなりおカネがかかっているように見えるのだけれど、ネットプリントを使うとそれほどかからないらしい。
前日のリハーサルからホールで弾いているので、ホールの響きにも少しは慣れてきた。周りの音が聞こえにくかったのだけれど、本番では、隣で弾いているエキストラの方(プロ野球の助っ人外人みたいなもので、演奏会の成否は実はエキストラさん頼み)だとか、どきどき前の先生の音も聞こえてくるようになった。「よく聞こえますよ」と言うと、「私も聞こえてますよ。ロッシーニのあそこ、最初の音だけ弾いていたでしょ」とのお返事。バレていたか。チェロの人からも、ヴィオラがよく聞こえると仰っていただいた。ただ私の音がよく聞こえているのか、他の方のヴィオラの音が聞こえているのかは定かではないが、あるいは、「あそこちゃんと弾いてないでしょ」という含意があるのか。
ともあれ、楽しかった。たぶん、これだけのメンバーがステージの上で同じように呼吸をしていたのだと思う。そして、客席の人の中にも同じように呼吸をして、私たちと同じように血を巡らせていた人がいるのだと思う。時間と場所を共有するというのは、きっとそういうことなんだと思う。まだまだいろいろ制約のある中での開催だったけれど、開催できてよかったと思う。