数年に一回の割合で制作されるバヨネタドラマが、また始まりましたね。自分で楽器を弾いていると(もちろんプロでもないし天才でもないけど)、世間の人は見ないようなところに目が行ってしまう。台詞の言い方とか、表情の作り方とか、そんなのは放っておいて、まずは、楽器を弾く演技を見る。今回はプロの演奏家という設定だから、音は吹き替えだとわかっているのだけれど、どれぐらいそれらしく見えるか。まずここで「お、おっ」となる。結構、ちゃんと弾けているように見えるじゃん。俳優さんてすごいな、とつくずく感心する。
そうそう、俳優さんって、ただ弾いている演技だけじゃなくて、表情も作らないとダメなのね。楽しそうに弾くとか、不安げに弾くとか。これは大いに参考にしなければ。発表会でも演奏会でも、オーディエンスは目を瞑って聴いているわけじゃないから、楽しそうに弾けば楽しい気持ちになるし、不安げだと「大丈夫か、この人?」って思ったり、何がそんなに不安なのだろうと演奏の上手くできていないところを見つけようとしたり、べつに悪気はなくても無意識にそうなってしまう。それは天才ヴァイオリニストでも、私のような素人でも同じだと思う。
このブログでも何度か書いているけれど、アンサンブルをやっていると、いっしょに弾いて弾きやすい人って、実際にいる。門脇麦が演じる天才ヴァイオリニストがコンミスとしてやってくることによって、オケ全体の力量が急に上がるというのも、あながち無理な設定ではない。それに、そういう人と弾くのって楽しいから、演技じゃなくても楽しそうな表情になっているはず。すると、実際のレベル以上にレベルが高くなったように聴こえるはず。
天才ヴァイオリニストが、いままで座って演奏したことないからと、座って弾く練習をしているのとか、あ~あるある、って感じ。「弓付けて」ていわれてコンミスがキョトンとするシーンを見て、そっか、弓順ってコンミスがきめるんだぁ、なんて思っているのは、うちがポンコツオーケストラだって吐露するようなものか。うちの場合は、本番その日に決まったりとか、いっそ何も決めないままステージに載ってたりとか。
初回は舞台設定のようなもの。第二回は遅刻魔のフルート奏者、第三回は世捨て人のようなティンパニー奏者にスポットが当たった。次回はいよいよヴィオラ奏者にスポットが当たる。この世間ではあまり知られていない楽器がどのように描かれるのか。セカバヨのYouTubeとどっちが注目を集めるのか…
と、こんなふうに、世間一般にウケるかどうかはまったく関係なく、こういうのはやっぱり見てしまう。