2015年5月30日土曜日

ヴィオラなんかなくても



 日曜日の朝にある「題名のない音楽会」という番組をご覧になっているだろうか。そのうち先々週の放送がヴィオラ弾きの中でホットな話題になっている。といっても私が知り得る範囲での話だが、知りうる範囲では、全員がたいへん注目してこの回の放送を見たようだ。

 それは5月17日の放送。オーケストラの中でも注目度の低さナンバーワンの楽器、ヴィオラにスポットを当てた企画。クラシックにあまり関心のない人でも知っている超有名曲のヴィオラパートを、世界的に活躍する指揮者、佐渡裕に聴かせて、何の曲かわからないと言わしめ、如何にヴィオラが注目されていないかを証明するというコーナーもある。もちろん、余り知られていないヴィオラの名曲の演奏なんかもあって、ヴィオラ弾きには垂涎の内容だった。

 先日のアンサンブル練習の際にも、ヴィオラパートの中ではこの話題がしばしば出てきて、番組で演奏されたテレマンのヴィオラ4重奏の楽譜も配布された。パートはじゃいけんで決めるということなので、4パート全部練習しておかないといけない。ふつうヴィオラは1パートしかないから、ふつうの曲の4倍楽しめるということなのだが・・。

 さてさて、例のブランデンブルクなのだが、先日は同じパートの方の隣で弾かせていただいた。このアンサンブルは、私が行く前はヴィオラは3人しかおられず、ヴィオラが3パートに分かれるブランデンブルク3番は1パートひとりということになっていた。そこにあとから私が来たので、幸い、どのパートになっても、そのパートでひとりという訳ではない。
 同じパートの人が隣で弾いていると、万一、楽譜を見失ったときに復活しやすい。それで前回は少し弾ける場所が増えた。それでもまだ全部通して弾けてはいないのだが。

 アンサンブルでの練習曲はブランデンブルク以外にもあるのだが、たぶん、ブランデンブルクがいちばん難しい。他の曲はなんとかなると思って、個人的にはしばらくブランデンブルクばっかりを練習しているのだが、それがまた何ともならないのだ。

 そういう中で、また新しい楽譜が配られた。結構有名な曲だ。クラシックに関心のない人でもかなりの方が知っている曲だ。
 前回、楽譜が配られたのだが、ブランデンブルクがニッチもサッチも行かなくて、とても手が回らなかった。アンサンブルの経験が長い方は、ほとんど初見でも弾けてしまう。知っている曲だからというのもあるのかもしれないが、私などがおろおろしている間に、どんどん曲が進んで行く。こうして新しい曲をもらうというのも楽しいものなのだが、いつか自分も、こういうのが普通に弾けるようになるのだろうか。

 ま、右の写真に載っている部分なら、ヴィオラの基本テクニックを押さえていれば初見でも弾けそうではあるが・・・

 さて、この曲、何の曲でしょう。

 
 

2015年5月23日土曜日

ブランデンブルグのその後

 ブランデンブルク協奏曲3番を始めて1ヶ月ほどになった。何回か合わせる練習もしているのだが、いっこうに弾ける気がしない。
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 最初に合わせたときは、いったいどこを弾いているのかさえ分からなかった。2回目は、とりあえずどこを弾いているのかは分かったが弾けなかった。3回目は伸ばす音とか、同じ音で刻む音とかは弾けた。微かに進歩はしている。脳科学者が出てくる番組でやっている「アハ体験」のような進歩だ。あまりに微かにしか変化しないので、こうして説明しないと誰にも分かってもらえない。

 前回のレッスンでは、メトロノームに合わせることと、全体を通せるまではまずは苦手なところを弾けるまで練習するということをアドバイスされた。自分だけで弾いていると、どうしても自分勝手なリズムになりがちだ。それでは合奏できない。メトロノームに合わせて、ゆっくりなところはしっかりとゆっくりに、休符もきっちり拍数だけ休んで弾く練習をする。もっともだ。

 それでメトロノームを120に合わせて、弾けないところ何箇所かを繰り返し練習することにした。伸ばす音とか、同じ音で刻むところとかは、例え弾けなかったとしてもそれほど影響もあるまい。どうせ音量を絞って弾くところだ。それより少し難易度の高いところを練習しておいた方がいい。あまり難易度の高いところに手を付けると、そこばかり練習する羽目になって、どこも弾けなくなってしまう。
当面の目標は

そこそこの難易度のところを
上手く弾けるようになって
ドヤ顔すること

いや、別にこんな大きな字で書くことでもないのだが…

 それでここだというところにマークして、そこを集中的に練習。いざ、合わせの練習へ。
 ところが、練習会場に着くと、合わせる前に撃沈。140以上の速さがある。確かにこれぐらいのテンポの演奏は聴いていて軽快だし心地いいのだが…

 みなさんのこの練習風景を見て方針を変更。何箇所かにマークはしていたのだが、今日はこの1ヵ所に絞って、そこだけは弾いて帰ろう、ということにした。

 しかし、実際にアンサンブルが始まると見事に撃沈。

 今日も悔しいです。

 としょげていると、

その悔しさを少しでも緩和するためには、
最後のところだけ集中的に練習して、
そこだけ弾いてドヤ顔をすることです。

という、非常に現実的なアドバイスをいただいた。
はたしてこの先どうなるのか…

 さっきの「アハ体験」の話だが、あれ、答えを言ってもらうと、最初と最後ではずいぶん違っていたりする。1回1回の変化は微かでも、気が付けばこんなに変わっているということもあるのだ。あまりマイナスイメージばかり持っていても上達はしない。ステージに載っている自分を想像する。さあここからアハ体験の始まりだ。だんだん変化して行って……




最後にはステージから自分が消えている





なんてオチにならないようにしなければ。

2015年5月11日月曜日

大惨事

 ヴィオラの弓を折ってしまった。
先月から始めたアンサンブル練習での惨事。心まで折れてしまう。たまたま2m以内におられた先生が、飛び散った欠片を丁寧に拾い集め、

あ、これなら直りますよ

と仰って、どうやって直すのかを解説してくださる。周りのみなさんは興味津々。なるほど、と聞き入っておられる。いや、実は2年前にヴァイオリン弓を同じように折ったことがあるので、直し方は知っているのだが・・・

 ともあれ、その時もたしか修理代は1万円はしなかったはずだと思い出して、大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせる。おかげで帰りの駅でホームから落ちなくて済んだ。

 ところが工房に持って行くと、折れた場所が前回よりも下の方、つまり弓毛をいれる溝というか、いやとにかく折れた場所がわるくて、もしかすると直らないかも、ということ。
 あぁぁぁ、階段から転げ落ちそうな落ち込み。
 日数も少しかかるということなので、とりあえずは折れた弓を預けてきた。

 あくる日になって、ちょっと気持ちが変わってきた。

 実は、ヴィオラを買うときに、この弓に関しては相当妥協して買ったものだ。衝動買いに近い買い物だったのだが、多少の理性はあって、楽器はこれっと決めたのだが、弓もケースも大盤振る舞いする訳には行かなかった。弓も2種類、ケースも2種類並べて、どちらを取るか考えた挙句、弓はいずれ買い替えることがあるかもしれない。なにせその時はヴィオラ初心者だったし、弓の違いもよく分からなかった。そのうちに弓の違いも分かってきたときに買い替えることも出来ようが、ケースはその時に買ったらあとで買い直すこともあるまい、という、分かったような分からないような理屈でケースにおカネを傾斜配分し、弓は楽器とは不釣り合いなほど安いもので済ましていたのだ。

 幸い、アンサンブルの方がヴィオラ弓を貸してくださった。この借りた弓が確実に折れた弓よりも弾きやすい。次回の練習で、しばらくお借りできないか相談して、ゆっくりいい弓を物色しようと目論んだりしているところ。大阪市の大手弦楽器店に行こうか、工房で相談して見繕ってもらおうか、アンサンブルの先生に相談しようか、弓の選び方をいろいろ思案しているのだが、おカネをどうやって工面するかだけは思案しても答えが出ない。

2015年5月4日月曜日

ブランデンブルグ協奏曲

http://ja.wikipedia.org/wiki/より
事情があって、J.S.バッハのブランデンブルク協奏曲3番に取り組むことになった。3番ト長調の第2ヴィオラだ。

 このブランデンブルク協奏曲3番は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロがそれぞれ3パートに分かれている。通奏低音まで含めると10パートの堂々とした編成だが、そこはバロック。そんな大人数で演奏するものでもない。特にヴィオラなんて楽器は人口も少ないので、パートひとりでも弾ききらないといけないという覚悟で練習しないといけない感じだ。

 バヨ先生曰く、ヴィオラって音域だとか大きさが中途半端で、ヴァイオリンみたいにひらひらさせて晴れしないし、チェロみたいに深い音も出ないし、でも、オケでは絶対に必要なパートだそうだ。昨年の秋に先生が交代してから初めて、前回のレッスンでヴィオラを見ていただいたところ、
ヴィオラ、向いているかも
と微妙に褒められた。

 褒められて気を良くしたものの、素人にとってこれは結構な難曲。
 これまで何度か合奏をしたヴィヴァルディの場合、ヴィオラのパートには16分音符がほとんどなくて、きっとこれはピエタ修道院の楽団の中で、一生懸命練習してもなかなか上手になれない子供が、行き場がなくて辛い思いをしないように、いまの学校で例えれば、勉強もスポーツも友達付き合いも苦手な子供が教室に居辛くなった時の居場所ともいわれる保健室のような場所としてヴィオラパートを書いたのではないか、と思えるような譜面だったのだが、バッハの場合はヴィオラであっても容赦がない。しかも、他のメンバーは既に半年ほど練習をしていて、テンポもかなり速い。果たして無事に合わせることは出来るのか・・・

 それにしても、バッハの曲はすごい
 どうすごい、って上手く言えないが、何か精密機器のような気がする。自分のパートだけ練習していても気付かないのだが、合わせてみると、いろんなパートの音が、まるで歯車が噛み合うように絡み合っている。予期しないところで急にユニゾンになったり、わずかな休符の間に外のパートの特徴的なフレーズが聞えてきて次に自分が弾くフレーズを導き出していたり。全然弾けてはいないのだが、楽譜を渡されてその席に座らされるだけで、中世の時計台の中にいるような、産業革命の頃の工場の中にいるような、そんな興奮を感じる。

2015年5月3日日曜日

情熱の日

 ラ・フォル・ジュルネに行ってきた。
この街には立派なオペラホールがあるのだが、そのホールを中心とした春の一大イベント。大中小3つのホールが2日間フル稼働になるほか、ロビーコンサートなんかもある。クラシック音楽というと堅苦しいイメージがあるのだが、お祭り気分で1日楽しもうというイベント。今年のテーマはバッハとヘンデルだった。

 ホールでのコンサートは有料。といっても普通のコンサートを思えば安価で、子供OKなのもあって、1時間ほどでどんどん入れ替わっていく。知っている曲が演奏されるものはないかと物色していたら、バッハのヴァイオリンコンチェルト1番とドッペルが演奏されるものがあって、あらかじめチケットを購入。それを中心に、ロビーで催される無料のコンサートや、外で模様される県内の高校生によるマーチング(これにはバッハやヘンデルの曲はなかった)、それと屋台の食べ物で1日過ごす。心配した雨も降らず、楽しい1日だった。