2014年4月20日日曜日

バッハさんの言いたいことは

 新バヨ先生のレッスンで何度か先生が仰った言葉。

 バッハさんが言いたいことは

 レッスンで見ていただいているのは、バッハ無伴奏チェロ組曲第1番からプレリュード。もともとチェロのために書かれているこの曲をヴィオラ譜に書き換えたものがネットにあって、今年2月にレッスンを再開してからずっとこれを見ていただいている。今回から先生が交代されたが、曲は引き続きこの曲だ。

 全曲に渡って16分音符が並んでいて、リズム的には変化の少ない、まるでエクササイズのような音符の並びなのだが、これがクラシックに興味のない人でも一度は聴いたことがあるというぐらいの名曲なのだ。そこには作曲者が込めた思いが織り込まれている。エクササイズのように弾いてはいけない。

 最初の4小節は、Gをベースにした分散和音のバリエーション。同じ旋律を2回ずつ繰り返していくのだが、4小節目の最後の1音だけちょっと他とは違う展開になる。この1音がバッハさんが言いたいところらしい。
 この最後の1音が次の5小節目への導入部となっているのだが、この5小節目が大事な部分で、導入部の1音は「いまから大事なこと言いますよ」という1音なのだそうだ。
 そして、大事なところは決して大声では言わない。「よく聞いてね」と言って小さな声で言う。

 5小節目、7小節目、9小節目、10小節目は、そのほかの小節と違って、前半と後半が違うフレーズになっている。この場合は4拍目の4音が、次の小節の導入部になっているので、小節の区切りで切れる感じではなく、次の小節の最初の1音に音を乗せて行く感じでフレーズをつないでいく。
 小節の最初はベース音になっているので、これをしっかり響かせる。
 この二つが出来ると、曲の前半がグッとグレードアップした感じになってきた。

 後半は打って変わって、まだ自分でも「フレーズを読む」というところまで出来ていなくて、書かれている音符を順番に読んで音を出している状態。それならば、まず、メトロノームに合わせるがごとくに、まったく緩急をつけずに弾いてみる。これがもう、子供がレッスンでエクササイズを弾いているみたいで、面白くもクソもない。ま、だけど一回こうやって弾いてみてよかった。これでしっかり音が置けるようになってから緩急をつければいい。

 31小節目からあとは、聞かせたい音の間に、前半はDが、後半はAが挟まっているので、まずはこのDやAを除いて、聞かせたい音だけをしっかり音程を取れるように練習する。これもハイポジションのエクササイズのようだ。2ポジや4ポジは音が取りにくいので、ポジション移動も少し考えるようにアドバイスがあった。
 音を取るのは、チューナーで緑のランプをつけるということではなく、純正律の音の響きをしっかり意識して、出来ることなら重音で音を重ねながら確かめていくといい。
 これもなんだか子供のレッスンみたいだが、この曲を弾くための練習だと思えば苦にはならない。

 そしてこの曲でバッハさんが最も言いたいのは41小節目からの最後の2小節。他のところは全てここを言うための伏線だと思ってもいい。中でも最後の3重音を4拍伸ばすところがいちばんの結論なので、その前のところで「溜め」を作ってしっかり元弓まで戻して、G線とD線にちゃんと弓が乗っているのを確認したら、G線をしっかり鳴らしてから移弦して、弓を無駄遣いしないように重音を作って余韻を残す。
 前半もそうなんだが、この「いちばん言いたいところ」のひとつ前の音が大事みたいだ。そういえば、普段話しているときでも、大事なことを話すその前のところっていうのは、無意識のうちに「溜め」を作っていたり、クレッシェンドしていたり、アッチェルランドを掛けていたり、なんか工夫をしているものだ。

 こうして久しぶりにレッスン記録を書き留めておくと、結構、最初のレッスンから濃い内容だったんだなぁと思う。

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