2024年3月23日土曜日

妄想リサイタル

 地元に「音楽振興会」という団体があって、県にゆかりのある若手音楽家を表彰したり、そのリサイタルを企画されたりしているのだが、そのリサイタルを聴きに行った。市内の、民間で運営している100席ほどの小さなホール。昨年、その団体が主催する「新人演奏会」で表彰された、ピアノ、チェロ、ヴァイオリンの奏者が、それぞれソロかピアノの伴奏で演奏するリサイタルだ。

 ヴァイオリンの方が演奏されたのは、プロコフィエフの無伴奏ヴァイオリンソナタ ニ長調 op115と、ヴァイオリンソナタ第2番ニ長調op.94。演奏されている方は違うが、こんな曲だ。

 学がないのを白状すると、プロコフィエフという名前は最近まで知らなかった。恩田陸の小説『蜜蜂と遠雷』で、主人公のひとりである亜夜がピアノコンクールで弾く曲が、プロコフィエフのピアノ協奏曲だったので初めて知ったウクライナ生まれのロシアの音楽家(この辺りはどう説明したらいいのか分かりませんが)。ロシア革命のときに、日本を通ってアメリカに亡命した、といったことが、手元の『音楽中辞典』(音楽之友社. 1979)に紹介されている。普段、演奏しているバッハやモーツァルトに比べたらずいぶん最近の人で、「現代音楽」といっても差し支えないぐらいではないだろうか。

 その奏者の演奏を聴いていても、無性に楽器が弾きたくなる。普段は合奏ばかり聞いているし、ソロで弾いていても何となく物足りなく思うことが大野だけれど、こうして聴いてみると、こういうのもいい。発表会でソロの演奏もしようかな、という気持ちもわいてくる。ピアノもチェロも、
こんどこの楽器のレッスンを受けてみようかな
なんて、実際にヴィオラのレッスンを受けていることも忘れて、素直に思ってしまう。最初にピアノで弾かれたバッハのパルティータ3番イ短調なんて、ピアノで弾くならこの曲かな、なんて思いながら聴いていた。

 実際に弾けるわけはないが、考えるのは自由なので、しばし妄想に浸ってリサイタルを目一杯楽しんだ。


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