発表会で上の娘が弾いたのはこの曲(動画は他の方の演奏)。
動画は電子ピアノで演奏されているが、娘の演奏も普段は電子ピアノで聴かされていた。その時から、これを発表会会場のホールにあるコンサートピアノで弾いたらどんなになるのだろうかと楽しみにしていたが、期待に違わぬ演奏だった。親ばかフィルターを外してもそこそこの演奏だったはずだ。
それはさておき、なぜこの曲を出したかというと、この曲の随所に桜の散る音が織り込まれているのを聴いてほしかったからだ。ちょっと季節外れの話題だが、毎年、至るところに桜が咲くのが日本の春。普段は雑木林の景色に埋もれる桜が、地面の底から命が吹きあがってくるかのように芽吹き、花を咲かせ、春の陽光の中を吹くまだ肌寒い風に花びらを舞わせる。毎年見ている風景なのだが、そのときの音をこれまで聞いたことがない。「ヒラヒラ」とか「ハラハラ」などと表現されるが、それはあくまでも擬態語であって、どれだけ耳を澄ませてもそんな音は聞えない。
それが、この曲の中では確かに桜の舞い散る音がしている。最初は1枚2枚・・ そして花吹雪のように。
発表会では講師の先生のお手本演奏も聴かせていただけるのだが、バヨ先生が弾かれたのはモーツアルトの「キラキラ星変奏曲」。もともとピアノのための曲だが、小バヨ先生と二人で弾いてくださった。ヴァイオリンで弾いている動画は見つからなかったが、こんな曲だ。
ここでも確かに星がキラキラ光っている音がする。星が光る音もいままで聴いたことがない。田舎とはいえそこそこに街の灯りもあるので、こんな星空を見ることもないのだが、おそらく北海道かどこかの原野に行って夜空を見上げて耳を澄ませても、こんな音は聞こえてこないと思う。
いちど心の耳を研ぎ澄ませて聞いてみたいとは思うのだが・・・。
極めつけはドビュッシーの「月の光」だと思う。西洋ではどうだか知らないが、私が使う日本語の中には月の光を表現する擬音語も擬態語もない。月は夜空に静かに浮かぶもので、キラキラという星の囁きも月が現れると静かになる印象がある。月は「輝く」ものではなく、ぼんやりと浮かんでいるものなのだが、この曲を聴くと、確かに月から光が降りそそいで、夜の暗闇を包み込んでいるような気がする。
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