2022年11月22日火曜日

『オルケゾグラフィ』と『カプリオル組曲』

  前回の記事で、16世紀にフランスで著された音楽と舞踏の指南書、『オルケゾグラフィ』(トワノ・アルボー著)について紹介しましたが、今回はその続き。

 『オルケゾグラフィ』について知ったのは『カプリオル組曲』※がきっかけ。『カプリオル組曲』は、イギリスの作曲家ピーター・ウォーロック(1894-1930)によって作曲された組曲なのですが、そのオリジナルは、この『オルケゾグラフィ』に載っている楽譜です。『オルケゾグラフィ』には、いくつかの舞曲の例が掲載されていて、それぞれの曲に合わせてどのように踊るのかが解説されています。その多くは、太鼓のような打楽器が拍をとりながら、笛のような楽器で単旋律のメロディを奏でるようなものです。その舞曲がウォーロックによってアレンジされ、組曲になったのが『カプリオル組曲』です。

 ピーター・ウォーロックについては、いまのところ手元には、wikipediaのほかに情報がないのですが、イギリスの音楽評論家で、「音楽は主に独学で、自身が好んだ作曲家、特にフレデリック・ディーリアスやロジャー・クィルター、ベルナルド・ファン・ディーレンなどの作品から、独力で作曲を学んだ。またエリザベス朝時代の音楽や詩、ケルト文化などからも強く影響を受けている」と解説されています。アンサンブルのご指導をいただいている先生によると、イギリスの作曲家は、古典音楽をアレンジしてその音楽に新しい命を吹き込むことに長けた人が多く、ウォーロックもその一人だということでした。

 今年の1月に初めて、この曲が演奏されるのを聴いたのですが、最近、先生がご指導されている別のアンサンブルでも演奏したらしく、うちのアンサンブルでも、来年の定期演奏会に向けた選曲候補になっています。前回の記事でもご紹介しましたが、2020年に著者トワノ・アルボーの生誕500年を記念して『オルケゾグラフィ』の邦訳版が出版されたのも、この曲が演奏されるようになるきっかけになったのかもしれません。

 そんなことで、図書館で『オルケゾグラフィ』を借りてきて読んでいるのですが、これがなかなか面白い。というか、ぜんぜん面白くないのですが、じっくり読むと面白くなってきそうな内容だったので、少々値が張るのを奮発して、本屋さんに取り寄せてもらうことにしました。

 初めて聴いたときの記事でも紹介していますが、『カプリオル組曲』はこんな曲です。

 ご婦人を舞踏に誘うにはずいぶん深刻な旋律ですが、それについては次回かその次ぐらいの記事で私見を述べようと思います。


※ 『カプリオール組曲』と「オ」を伸ばして表記するのが一般的なようですが、『オルケゾグラフィ』の邦訳版で、「Capriol」を「カプリオル」と表記しているので、それに倣って表記します。

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