兎にも角にも定期演奏会が終わった。6月から毎月本番が続いていたが、演奏する曲の数からいうと最大の本番、聴いているお客さんの数からいっても最大と言える、最後にして最大の本番だった。観客動員およそ100人。といっても舞台の上には30人ぐらいが載っているので、ひとりで3人ぐらいの換算だ。大きな失敗がなければ100人の目がいっせいに自分に向かってくることもあるまい。発表会だと、聴いているのは30人ぐらいでも、舞台の上は自分とピアノ伴奏の先生だけという状態だから、それに比べれば気が楽だと思われなくもないような気がするかもしれない、と思う、知らんけど。
2週間前から、本番で使う舞台での練習になる。ちょうどそのとき、新聞の取材が入った。私が住んでいる県には虚構新聞以外に新聞社がなく、全国紙のほかは、隣の府の新聞か、クルマで2時間ほどのプロ野球チームの本拠地のある町で球団のオーナーになっている新聞社のものをとっている人が多い。取材に来られたのはそのドラゴン新聞社だった。
このアマオケは普段から出席率は高いのだが、本番も近いのでなおいっそうみんな練習に来ている、はずなのに、なぜかこんな日に限ってヴィオラは一人。
- そこ、ヴィオラのCisはしっかり♯をつけて
- ヴィオラのそこは押さえつけずに弾むように
- そこのヴィオラが入ってくるところはしっかりとタイミングを合わせて
- ヴィオラのそこはもっとレガートで
なんか、やたらヴィオラに指導が入るじゃん。隣に弾けている人がいると、その人は弾けているけどもう一人のヴィオラが弾けていない、と個人を特定して指導することになるので指導しにくいのかもしれないが、その日はヴィオラは一人だけなので、「ヴィオラ」と一括りにして指導ができてしまう。「ヴィオラの中で音をあわせてください」などと気を遣った表現をする必要もない。
できあがった記事を読むと
リズムやハーモニーが合わず四苦八苦することも多いが、本番が近づき熟練のエキストラが加わると、団員たちの弓の動きも活気を帯びてくるという。
と書かれていた。本番2週間前ですでに弓の動きに活気が満ちていないとおかしいのだが、取材した記者にはそのようには見えなかったようだ。
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