2018年6月3日日曜日

ヴィオラの音

 来週はロビーコンサートの本番なので、今日のレッスンはその曲から見ていただくことになった。これは、自分としてはやや妥協。先月の記事にも書いたのだが、アンサンブルといつものスタジオのレッスンでは、練習の方向性が違っていて、あまり一緒にはしたくなかったのだ。アンサンブルの方は、とにかく曲が多い。それに、来週が本番だというのに、その3日前の練習でもう1曲、楽譜を渡します、といった調子。先生も
本番は上手な人が来てくれるので大丈夫
という変な確信を持っておられて、本当に大丈夫なのかどうかはよくわからない。いつものレッスンは、とにもかくにも発表会という目標があって、そこは一人で弾くわけだから、間違えてでも何してでも最後まで弾かないといけないのだが、最近はハードルが上がっていて、子供たちの発表会に行くと、途中で間違える子はいないし、上手というより、どの子も聴かせに来ている感じのアグレッシブな演奏をする。それを聴かされると、自分もという思いになるし、となると、普段のレッスンでも
1点狙いの濃厚なレッスン
を期待するところになる。
 ところが、これがあまり思うようにいかず、いつも言われることは同じで、全然前には進まず、ひと通り弾いて、聴いてもらって、前回と同じコメントをもらうと、もうやることがない、というような状態になってしまう。もちろん、前回言われたことは少しでも克服しようと練習もするのだが、ただでさえ限られた練習時間を、発表会用の練習とアンサンブル用の練習に振り分けるのだから、2週間後のレッスンで聴いてもらって
はい解決 それじゃ次はここに気を付けて
とはならない。ましてや、本番が近づいてきて、しかも曲が大量で、そこそこの難易度もあるので、練習時間の配分も7:3ぐらいでアンサンブル中心になってくる。

 そんな状況だったので、前回のレッスンのときに、次の本番の前に1回、レッスン入れましょうか と仰っていただいたのは、助かったような、負けたような、なんかちょっと複雑な思いだった。

 ともあれ、発表会で弾くいつもの曲は後回しにして、ロビーコンサートの曲を聴いてもらう。と、いっても、本番は上手な人が来るから大丈夫、と言われているレベルだ。先生も笑うしかない、といった表情で、こちらも、
楽しんできます
としか言いようがない状態。もっと早く見せてくれたら、なんとかなるんですけど、もう来週だから、ここは弾いているふりだけしておいてくださいということになった。随分酷い言われ方のように思われるかもしれないが、そういわれても仕方のない出来だ。

とはいっても、すべての曲がこんな調子ではない。中には比較的ちゃんと弾ける曲もある。他に何か見てほしい曲ありますか、ということだったので、シャンソンの名曲「愛の讃歌」を見てもらう。これは、練習の最初の方でウォーミングアップ的にやるのだが、主旋律はヴァイオリンで、ヴィオラは、
レーファーソーーーミーーー
というような、ひたすらロングトーンが続く。そこに「あなたーーの燃ーえるー手でーーー」という旋律が載るのだが、これが結構、弾いていて気持ちがいい。気持ちがいいのだけれど、もうちょっといい音色で溶け込むように弾いてみたい。先生によれば、そういう思いがきつすぎて
響かせよう
と体中、かちんこちんになっているから、弦の自然な響きが押さえつけられてしまって、かえって響かなくなっている。そういわれて弾いてみると、
ほら、だいぶ良くなったでしょ
ということになった。実は「ほら」といわれるほど自分では分かっていなかったのだが、確かに、なんかこの音じゃないんだけどなぁ、というモヤモヤ感はなかった。たぶん良くなったのだと思う。

この調子でいつものレッスンで見てもらっている曲を弾く。C線やG線は軽く弾くだけで自然と響くけれど、高い音はやはり弓毛で弦を掴みに行くところを意識しないと「へなっ」とした音になる。私の場合、弦によって音が違いすぎるということも、初めて指摘された
自分では分かっていたのだが、理論的にも少しわかった。

 あとは、とにかく丁寧に
 リズムもやや雑なのだが、一番目立つのが移弦。移弦だとか弓の返しのタイミングが左手と会わないから、楽譜にない音が途中に混ざってしまう。あるいはそこで慌てているみたいな印象の演奏になっている。それを回避するには、覚え方はどんな覚え方でもいいので、楽譜を覚えて、次の音が何かぐらいは意識して、例えば次はこの絃に移弦するということを意識したら、自然と右肘が動くんだけど、それが、楽譜を見て慌てて移弦している感じだからダメなんだ、とのこと。

 ま、とにかく練習なんだけど、やみくもに練習するのではなく、ポイントがいくつか出てきたので、ちょっとやり易くなった。といっても1週間ではなんともならないので、忍者の里でステージから消える術を練習するか、狸の里で化ける練習をするか、そんなことで来週は乗り切ろう。
 

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