2017年10月22日日曜日

忘年会を目指して

 いろいろ考えながら、定期演奏会後はじめてのレッスンを迎えた。まずは定期演奏会の報告。「とにかく楽しかった」と言うと「楽しいのがいちばんです」とのこと。いや、先生、それ、楽しかったという言葉の裏に、実はあまり上手くは弾けなかったという含意を読んだでしょう。違うんですよ。練習では考えられないレベルで弾いたんですよ。やればできるんですから…
 と、大きなことを言うのは控えめに、来年の発表会を目指していろいろ考えていることを相談。
 いままでは、テンポの速い曲をヒラヒラパラパラ弾くのが上手いと思っていたけれど、そうじゃなくて、ゆっくりした曲をしっかり聴かせたい。来年もアンサンブルに参加するつもりだから、どうせそっちはヒラヒラパラパラになって、あっという間に本番になるから、とりあえず形にするのに精一杯になるはず。それなら発表会はそうじゃないところをしっかりやりたい。
 このところ、ひとりで練習していたのはこの曲。グノーのアヴェ・マリア。例の「ヴィオラ名曲31選」の中の曲だ。宮本笑里さんが弾くとこうなる。


 しかし、発表会の曲としてはちょっと簡単すぎる印象がある。それは先生も仰っておられて、この曲で発表会に出るなら相当なレベルにもっていかないと、「なんだ簡単な曲だなぁ」という印象しか残らない、とのこと。同感です。
 しかし、忘年会の余興ならちょうどいい具合なので、それを目標に、などと、先生にとってはたぶん消える魔球のような変化球で攻めてみると、「それもいいですね。本番は本番ですから」、ということになった。

 先生の前で弾いてみると課題山積。弾く前から課題山積だったのだが、ちょっといくつかに整理してみる。音程とリズムはとりあえず横に置いといて(←いや、それがいちばん課題なんだが)

 まず、弓の返し方。
 いや、分かっているんですよ、駄目だって。でもやっぱり駄目出し。もっと大事に。アクセントを付けないように返す。とにかく弓を返すところばかりを練習する。最初は解放弦でいい。
 ロングトーンはやりにくければ元弓から始めなくてもいいけど、どこから始めるのかはいつも決めておく。
 ピアノは音を小さくするのではなく、ピアノに聞こえるように弾く。指板より弓を寝かせて、だけど弓の速さを遅くするのではなく、弓はできるだけたくさん使ってピアノにする。
 次のレッスンまではビブラート禁止。ビブラートで誤魔化さずにロングトーンをしっかり弾けるように。ま、これがこの曲のほぼすべてかもしれない。

 そんな訳で、ゆっくりと始動。

2017年10月15日日曜日

続・ヴィオラの名曲を探して

 前回の記事で、ヴィオリストが過去に作曲家の不興をかってヴィオラのための名曲が書かれないようになったのではないかという仮説を立ててみたが、いやそうでもなさそうだ。YouTubeでいろいろ漁っていると、いろんな作曲家がヴィオラのための曲を書いている。

 まずはシューベルト(左の動画)。といっても有名なフランツ・シューベルトとは血縁等はなさそうだ。ウィキペディアによるとドイツ人の作曲家でヴィオリストだそうだ。1754年 ボヘミア(現チェコ共和国)の生まれとある。モーツアルトの2歳上だ。前に見つけたヴァンハルもチェコ人。何かチェコとヴィオラにはつながりがあるのか?
 それにしても、ヴィオラコンチェルトなのに主役のヴィオラが出てくるのが遅い。この動画でも、再生を始めてから2分25秒もしてから初めてヴィオラのソロが聞こえてくる。前の記事で唱えた「ヴィオリスト控えめ説」は正しいかもしれない。

 右の動画は、カール・ディッタース・フォン・ディッタースドルフ。この人も聞いたことのない作曲家なので、ウィキペディアで調べてみた。ハイドンやモーツァルトと同時代のウィーンに生れ、ボヘミア・ノイホーフ(チェコ)で没した作曲家でヴァイオリン演奏家。また出てきました、チェコ。
 この曲も主役が出てくるまでが長い。さきほどの曲ほどではないが、再生を始めてから1分30秒ほどしてから、やっと主役が登場する。このページのリンクはクリックするとそこから再生されるようになっているが、普通は頭から再生されるので、ヴィオラを聴く前に別の動画を見にいかれる方も多いのではないかと思う。

 

まだ続く。次はカール・シュターミッツ。この人も「ドイツのチェコ系作曲家」とウィキペディアに書かれている。1745年生まれ。モーツアルトより10年早く生まれているが、活躍したのは同じ世代かもしれない。もしかすると、この時期のチェコにものすごい美人ヴィオリストがいて、チェコの作曲家が挙って彼女のために曲を書いたのかもしれない。
 この曲もヴィオラ登場までが長い。いったいこの前奏の間、主役のヴィオリストはどんな顔して待っているのか、参考までに右側の動画をつけておいた。18世紀ボヘミアの美人ヴィオリストを想像しながら見るのも一興か。

 

美人の話が出てきたので、女性ヴィオリストの演奏している動画を探してみた。いずれもアンリ・ヴュータンという19世紀フランスの作曲家の作品。発表会用にオーケストラをピアノで弾いているのではなく、最初からピアノとヴィオラのために書かれた曲のようだ。やはり時代が下ると旋律的で技巧も難しそう。

 

 さてさて、ここから先はやや数奇な世界へ。
 いずれもYouTubeで漁って見つけたものだ。最初のはヘンデル。次は音楽の父J.S.バッハの息子、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの作品。新しい時代のものに比べると、どちらもバロック調のなんだか馴染みのある旋律で、いかにもヘンデル、いかにもバッハという感じなのだが、どうも事情が違うようだ。どちらの動画にも「Casadesus」という謎の人物の名前が記されている。例によってウィキペディアで調べてみると、ヴィオラ奏者と紹介されたあとで、長らく忘れられてきた作曲家の作品を蘇らせたと称して、その作曲家風の贋作をつくり、楽譜を売るという詐欺師紛いのことをしていたようだ。これらの曲もそのようにして作られた贋作らしく、「カサドシュ作曲のヘンデル風の協奏曲」「カサドシュ作曲のJ.C.バッハ風の協奏曲」と呼ばれているらしい。ヴィオラの名曲が少ないのは、さてはそういうヴィオリストがいるからか。こいつの所為だったんだ。いやしかし、これには同情の余地がある。かれもヴィオリストとしてヴィオラの名曲が少ないことを嘆き、それならば自分が過去の大作曲家に成り代わってヴィオラの名曲を書こう、などと思ったのかもしれない。いまなら、「ヘンデル トリビュート小品集」だとか「C.P.バッハに愛を込めて カサドシュ協奏曲集」みたいなタイトルを付けて出版すればいいものなのだが…
 それにしても、多くの人にヘンデルやバッハの曲と思わせるだけあって、先輩作曲家に対する尊敬の念とヴィオラに対する愛情を感じる旋律ではないか。

   

 

最後にバッハの右側の動画に出演している韓国人のヴィオリストの別の動画。「キム・サンジン」と読むのだろうか。もしかすると、韓国では葉加瀬太郎ばりの人気者なのかもしれない。こういうタレント性のある人が出てくるとヴィオラのステータスも上がるのだが。

2017年10月9日月曜日

ヴィオラの名曲を探して

 いまさらいうのもなんだが、ヴィオラという楽器は控えめなのか、目立たないのか、作曲家の興味をそそらないのか、あるいはかつてヴィオリストが作曲家の不興をかったのか、ヴィオラのために書かれた名曲というのが少ない。スタジオの発表会ではこれまで2回、ヴィオラを弾いているが、1回目はバッハの無伴奏チェロ組曲1番のプレリュード,2回目はヘンデルのヴァイオリンソナタ4番をアレンジして弾いている。もちろん、テレマンのヴィオラコンチェルトのような曲もなくはないのだが、発表会のネタに事欠かないヴァイオリンとは違って、選曲にはなかなか苦労する。

 そこで、YOUTUBEで「VIOLA」とキーワードを入れて、何かいい曲はないかと探してみることにした。



 マックス・ブルッフがヴィオラのために書いた曲のようだ。ヘンデルやバッハとは違ってなかなかロマンティックな旋律。リズムが難しそう。音色にも相当気を遣わないといけない。苦手克服にはいいのだけど、かなりの大作。この曲をこのレベルで「聴かせる」のは至難の業か。



 ひとつめの動画と同じ演奏家の動画を探して見つけた曲。「パク・ハヤン」と読むのだろうか。韓国のヴィオリストのようだ。作曲家ヴァンハルはチェコの作曲家のようだ。「古典派」というからモーツアルトやハイドンなんかと同世代なのだろうか。そういえば、なんとなくそれっぽいところもある。それにしても第1楽章だけで8分もあるのか。他の楽章を弾くという手もあるが、発表会で弾くとなるとピアノ伴奏譜があるかどうかが問題だな。



 1曲目と同じロマン派の作曲家でパガニーニの曲。やはり時代が下るとより高い技巧を要求するようになってくる。リズムも複雑になってくるし、随所にフラジオレットが使われている。そのフラジオレットの使い方がまた何種類もあって、こりゃちょっと無理っぽい。YOUTUBEでこの曲を検索すると、チェロで弾いている動画も多い。ヴィオラのための曲なのか、チェロのための曲なのかは、いまのところ不明。




 ひとつはジブリから、もうひとつはゲーム音楽から。どちらも日本人の演奏家によるものだが、ほかにこの方たちの演奏の動画はYOUTUBEには載っていない。「ザナルカンド」を弾いておられる方は、音楽教室の講師と紹介されていて、どうやらその音楽教室の宣伝のためにアップされた動画のようだ。
 この路線で行くならば、ヴァイオリンのための楽譜を買ってきて、ピアノ伴奏はそのまま、ヴァイオリンの譜をヴィオラにアレンジして弾くということになりそう。「ウケ」はいいかもしれないが…。

 そんなわけで、まだまだ迷走はつづく。

2017年10月7日土曜日

定期演奏会が終わって…

 定期演奏会が終わって、ちょっと中弛み状態。6月のロビーコンサートの後は、もう翌日から次の定期演奏会にむけてギアチェンジをしていたのだが(その時の記事)、音楽に関してはもう来年まで大きな予定はなく、曲すらも決まっていない。来年は、7月か8月に、普段レッスンを受けているスタジオと、時々アンサンブルのレッスンを受けているスタジオの両方で発表会がある。それと、多分また今年と同じように5月ごろから毎週練習に参加して、6月のロビーコンサートと9月か10月の定期演奏会、というスケジュールになると思う。結構、過密スケジュールだ。他人の何倍も練習しないと弾いている真似すらできない力量から考えると、4月までには発表会の曲をほぼ完ぺきに弾けるようにしておかないと、ロビーコンサートや定期演奏会の曲の練習時間を確保できないのだが、まだ曲も決まっていない。何を弾くかも
悩み中
先日の子供の発表会をみたところ、今の先生、結構本気で仕上げてくる感じだ。「とりあえず弾ける」ではなくて「ちゃんと弾ける」というレベルが目標。アンサンブルの場合は曲が決まっていて、それも半端なく多いので、ところどころ弾けないところがあっても「時間切れ」でステージに上がることになるが、先生が「ちゃんと弾く」というスタンスで来られるなら、たとえ簡単な曲であっても「聴かせる」演奏をしたい。指がクルクル回って速さで「上手」に見せかけるのではなくて、曲名をみたら「なんだ簡単な曲だなぁ」とか思える曲でも、聴いてみたら「をっ」となるような…

またまた自分でハードルを上げてしまった。

2017年10月1日日曜日

ステージに載る

 定期演奏会が終わった。
オペラ座の怪人を
演奏するために
用意された仮面
感想
 理屈抜きで楽しい
 もう、これに尽きる。前日からのテンションの盛り上がりは、昨日の記事の通り。ま、多少コミカルには書いているが、大筋、嘘ではない。上手な人と一緒に弾けば、普段の練習では失敗ばかりしているところも弾けたりするし、弾ければ間違いなく楽しい。練習のときには揃わなかった楽器が揃って、プロの歌手にも来てもらえれば、そりゃそれなりに格好も付く。それが美人だったり、若い女性だったりすれば、なおさらテンションも上がるというものだが、本質はそこではない。こうしてアンサンブルに入っていなければすれ違うこともなかった人と、時間と場所をシェアし、演奏してそれを聴かせるという目的をシェアすること。それが本質だと思う。

 今回はエキストラの方と話をすることも多かった。たいていは、先生がお世話をされている大学の学生だったり、そこの卒業生だったりするのだが、その卒業生どうしが同じアマオケに入っていたり、その卒業生がコアになって新しいアマオケを作っていたり、そういうつながりがいくつもあるようだ。エキストラに来ることで新しいつながりができることもあるという。同窓会とかで「いっかい集まろうや」とか言いながら酒飲んで話するだけではなくて、そこに共通の「やること」があるのは羨ましい。こうして時間と場所と目的をシェアするところに信頼と連帯が生まれる。いちばん大事なのはきっと目的だと思う。

 演奏の方は、途中、弾く曲を間違えて1小節弾いてしまうという大事故を起こしてしまったが、これをご愛敬で許してもらえば、いままでの練習ではありえないレベルで演奏できたと思う。本当に、始まってしまうとあっという間に終わってしまった。本当に楽しかったけど、ちょっと疲れた。今夜はぐっすり眠れそうだ。