ソロの発表が終わって問題のアンサンブルが近づいてくる。とはいっても、もうジタバタしても始まらないのと、アンサンブルメンバーのそれぞれのソロの発表があったりするので、出来るだけ他の方の演奏を聴くようにしていた。特に自分のソロの発表が終わって以降はずっと客席にいた。
今回の発表会では、アンサンブルはふたつだけ。ひとつはヴォーカル、つまり合唱のアンサンブルと、もうひとつが私たちの弦楽アンサンブルだ。
ソロの発表がすべて終わって楽屋に行くと、しばらくしてバヨ先生がお越しになり、そこで全員での駆け込み練習が始まる。そこでもバヨ先生は終始笑顔で、大丈夫、大丈夫、もっと出して、ほら、という調子。ステージではすでにヴォーカルアンサンブルの合唱が始まっていて、間もなく終わりかけ。
あ、もう行かなきゃ
と先生に促されて舞台袖に入る。
私はここで、
と先生は客席へ行ってしまわれた。うむ、多少不安なのだが、客席には先生もおられる、と自分に言い聞かせてステージに乗る。
演奏が始まってみると結構緊張している。さっきのソロ以上だ。
ラピュタはヴィオラのソロから始まるのだが、そこはまずまず。練習で出せるレベルの中でも「上の中」ぐらいの出来だ。ま、ここが出来ればヴィオラの大事な役割は半分消化したようなもの。しかし、この後の中盤の再びヴィオラが主旋律になるところの直前で不覚にも音を失ってしまい、それを切っ掛けに右手が震えだす。弓ビブラートが掛かってしまった。
パッヘルベルのカノンでは、自分がほぼソロになってしまう箇所で、走っているのが分かっていながら止められず、大過には至らなかったもののかなりまずい状況になってしまった。
そんな訳で、アンサンブルについては反省することしきり。
ただ、他の楽器をされておられる方からも、聴きに来てくれた家族からも、ラピュタはずいぶん褒められた。ファーストヴァイオリンが安定していて、崩れてもそこそこ立ち直れることと、選曲でかなりポイントを上げていたのかもしれないが、ヴィオラも含めて全部のパートにそれぞれ聞かせどころがある曲だけに、褒められるのは結構嬉しい。
打ち上げにはいろんな楽器の生徒さんがおられて、ほとんどの方は2年に一度の発表会以外にお会いする機会がない方ばかり。それでも中には何度か発表会でお会いして、前回はこんな曲を弾かれていたなぁ、なんてことを覚えている方もおられる。
大人になってから楽器を習うという機会はあまりあるものではないので、こうしてお話しが出来るというのも、本当にいろんな偶然が重なっての出会いではないかと思う。お互いこれからもそれぞれの楽器を続けて、また2年後もこうしてお話しが出来ればと思う。
(完)
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