上手か下手かという問題ではなく、そのアンサンブル独特の雰囲気が見られるのがいい。ツイッターのフォロアさんの言葉を借りると、そのアンサンブルが音楽をどう作り上げてきたか、ってのを聴くのが楽しい。選曲、弾く順番、プログラムの作り方、衣装、それに聴きに来ているお客さんの層までが、そのアンサンブルを形作っていると言ってもいい。そういう意味で、今日のアンサンブルはとても良かった。
密度の濃い演奏だった。
2週間前に行ったのは、隣町の立派なコンサートホールだった。150万市民を抱える政令指定都市だ。
乗換駅の切符売場 自動販売機じゃなくて駅員さんから買う もちろん自動改札もない ICカードも使えない |
お客さんも結構入っている。100人ぐらいだろうか。小さな子供もOKのようなので、多少のことは仕方がないというところだが、まずまず行儀よく聴いている子ばかりだったので、結構、文化的に高い水準にある地域のようだ。
コンサートは年に1回行っているようだが、それがコンサートだけではない。前日と当日に弦楽器のワークショップがあって、まったくいままで弦楽器を触ったことのない人に2日間で4~5時間のレッスンをしてステージに上げてしまう、というびっくり企画もある。これに参加されるのも、多分、ほとんどが地元の方だろう。そういう方が十数人から二十人ぐらいおられた。ヴィオラの人もいる。ヴィオリスト(似非ヴィオリストではあるが)としてはちょっと嬉しいが、会場では、弦楽器初めてなのになんでヴィオラなんだろう、なんて話しておられる方もおられる。いや、いいの、いいの。ヴィオラなんてマイナーな楽器に関心を持っておられる方がおられるというのは文化の高さの証し。
曲目は、「大きな古時計」「Let It Go」などの小作品や、ワークショップ参加者による「キラキラ星」「アマリリス」などのほか、バッハの管弦楽組曲2番やテレマンの今日初めて聞く曲、それにヴィヴァルディの四季全曲の演奏もあった。
プログラムによると、アンサンブルの設立は2000年で、当時は全員が初心者ということだ。今日は、ソロの部分は客演の方だったが、バックのアンサンブルもなかなかの迫力と繊細さ。設立当初は、おそらくワークショップ参加者と同じぐらいのレベルだったに違いない。それがこうして、バッハやヴィヴァルディを演奏するまでになっているという、その歴史というか、取り組みの継続性がすごいと思う。
聴いていた人の中にも弦楽器に興味を持った人も多いだろう。来年はワークショップに出てみようとか、いつかこうしてクラシックの名曲を舞台で弾いてみたいとか、そんなことを思った人もいるに違いない。なんてことを思いながら、会社終わってから電車に乗ったら何時に付くのだろうか、とスマホで調べてみたりしているのは私だけだろうか。