以前、どなたかのブログで、昔、俳優の中井貴一さんがドラマの中で、余命宣告を受けてチェロを演奏する場面を、「究極の目標」といって紹介されていたのがあったが、久しぶりにヴァイオリンを弾いてみて、なんとなくそういうのもイメージが出来たような気がする。
そのドラマというのは、「風のガーデン」というドラマで、亡くなった緒方拳さんの最後のドラマともなった。緒方拳さんは中井貴一さんの父親役で、ドラマの中では中井貴一さんが余命わずかな癌患者を演じていた。余命宣告を受けた時に、心の動揺を抑えるかのようにチェロを弾くその静かな旋律が、かえって心の動揺を静かに表現しているいい場面だった。曲目は覚えていない。
そんなことを思い出しながら、いまもし余命宣告を受けたら何を弾くだろう、などということを考えた。最初に出てきたのはこれだ。
なかなかいいな、とは思うのだが、う~む。余命何年ぐらいあれば弾けるのだろう。
「あなたの余命はあと6カ月です」
「いや先生、それでは練習が間に合いません」
そんなわけで、ただいまこの曲を練習中。
さっきの曲よりも明るく逝けそうな気がする。
中井貴一さんはドラマの中で、だんだんと身体が癌に侵され、最期はベッドから起き上がれなくなってこの世を去っていく。余命宣告を受けてから楽器を弾ける時間ってどれぐらいなんだろう。翻って、自分は人生の最期に、どんなふうに楽器と向かい合っているんだろう。余命宣告があろうとなかろうと、死のときは必ずやってくる。そのときの楽器との向かい合い方を考えるということは、楽器といっしょにどう生きるかを考えることに他ならないと思う。
などと、最後はちょっと真剣に考えてみました。
ま、余命宣告は受けていないが、平均的に考えて余命あと30年ぐらいしかないので、わずかな時間でも楽器を弾く時間を大切にしていこうと思う。
「男のロマン」漂うテーマですね。
返信削除もし選べるのならば私もバッハだろうなあと思う。おとがくさんのチョイスに共感します。
今、2番プレリュード練習中ですが、妻の死後に作られた曲だそうで相当陰鬱です。自分が死ぬ時はむしろ1番プレリュードみたいな明るい曲が良さそうですね。
ビオラ版の動画は初めて見ました。ビオラだと、より明るく響きますね。弓の使う場所がチェロと違うのが興味深かったりします。
いつか、そう遠くないうちに、おとがくさんの演奏を聴かせてくださいね。
「男のロマン」ですか。いや実際に聴いていただくと、めっさ薄っぺらいロマンになってしまいそうですが。
返信削除2番はニ短調なんですね。バッハのニ短調って重厚だな~。死に際に弾くには確かに陰鬱かも。
弓の使い方はただいま研究中。
うちの先生は、この曲でも他の曲でも、とにかく元弓を使わさはります。
弓を返すタイミングとか、そういうことのひとつひとつで曲想がかわってきて、そういうところで「あぁバッハ深いなぁ」と思っています。