ヴァイオリンに関してはこのところスランプだ。いくら弾いても満たされない。練習しても何かが出来るようになったとか、この曲が弾けるようになったとか、そういう実感がないのだ。ま、この歳になるとすべてにおいてそうなのだが……。人生80年だからピークはその中間の40歳。それまでは出来なかったことが出来るようになる過程だが、そこから先は、それまで出来ていたことが出来なくなる過程だ。最近、いままで出来ていたことがどんどん出来なくなっている。先週、自転車で投票所に行こうと思ったのだが、上半身の筋肉がすっかり退化していて、ちょっとした坂道を登ることが出来ない。こうして自分は土に帰っていくのだということを実感した選挙だった。
ちょっと話が逸れてしまったが、ヴァイオリンもそういう退化との戦いだ。始めたのが40歳ちょっと手前だから、本来ならそこからの成長なんてないはずなのに、よくぞここまで弾けるようになったものだと思う。しかし、最近はその成長の実感がない。そればかりか、前は弾けていた曲がどんどん弾けなくなっている。それも付け焼刃でその曲ばっかり弾き込んで何とか弾けるようにしたレパートリーだから、失われるのが速いのも道理なのだが、それはそれで寂しいものだ。
さてさて、今日は3週間ぶりのレッスン。少し間が空いているのだが、前回の課題はボウイングの基礎。こういう練習はなかなかモチベーションが上がらないものだ。
レッスンではまず、指弓を見ていただいた。
前回のレッスンで、弓を縦に持って指を曲げたり伸ばしたりすることで弓をスッと上げ下げするのを見ていただいたのだが、理屈の上ではそれと同じはず。弓が弦の上に置かれているかどうかだけの違いだ。この練習は、手首を動かさずに指の伸縮だけで弓を動かす練習なのだが、弓を返す時にどれだけ柔軟に関節を動かすことが出来るかに関わってくる。下げ弓で腕を伸ばし切るときは、小指を伸ばし、人差し指で弓が流れないようにコントロールする。そこから弓を返して手首で吊るように手前に持ってくるときは、小指で押し上げるようにしながら弓を運ぶ。その柔らかい動きが自然とできるようにするために、腕や手首を使わずに指だけで弓を運ぶ練習をする。
人差し指の役割は弓が駒から離れないようにすること。先生によると、残りの3本で手前に手繰り寄せるとのことだったが、私の場合、意識できたのは小指だけだった。ま、それでも一応、指弓らしい動きにはなっている。これを毎日3分×3回練習、というのが今回の課題になった。
下げ弓のときに、親指の付け根を一番前の列のお客さんに見せるつもりで弓を運ぶというのはこれまでにも言われていたが、今回はそこに小指の動きと右肘の動きが加わる。右肘については何回か言われている記憶があるが、最後はしっかりと内側に入れる。そのとき、指弓の原理で小指を伸ばして弓を前に突き出す。すべてが一連の動作だ。
そしてそこから移弦するときなのだが、ここが大きな課題。
これまで、弦を下からえぐるようなイメージを持っていたので、そこで手首を返してしまっていた。手首を返すと弓は向こう側に倒れる。これも癖で、弦がギロギロ言ったら、弦と弓の設置部分を減らそうと無意識に弦を向こう側に倒していたのだが、これを意識的に手前に倒すように練習してきた。どうやらそれは正解に近いようだ。手前に倒そうとすると、自然と親指の付け根がお客さんの方に向く。そうやって向いたままの状態で脇を締めて弦の角度を変える。手首は使わない。
上げ弓は手首を吊るようにして弓を運ぶのだが、それは完全に移弦が済んでから。
これまでは移弦をしながら手首の角度を変えていたので、結果的に手首だけで移弦するような感じになってしまっていた。
こうして、先生の前でやってみれば、なんとなくいままで出来ていなかったことが出来たように思える。これを定着させるには、本当に1日3回、3分間ずつ、指弓の練習をしないといけないところなのだが…
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