先日、バヨ会にいつも来てくださる方が所属されているアンサンブルの定期演奏会を聴いてきた。その町で随分むかしから続く伝統あるアンサンブルらしい。アマオケというのはよく聞くが、20人ほどの小さな編成で、バロックを中心に演奏されているアマチュアのアンサンブルというのは珍しいのではないだろうか。少人数であれば一人ひとりの演奏技術がそのまま全体のクオリティを左右するから、ある程度の技術を持った人ばかりを集めないといけない。そういうのはなかなか難しいのではないかと思う。
今回ご案内いただいたアンサンブルもそういう制約の中で運営されているものなので、たいへん失礼ながらそんな期待はしていなかった。アマオケか、どっかの大学のオーケストラぐらいのレベルを想像していたのだが、最初の音を聴いた瞬間にその想像は見事に覆された。そうだ、最近こういう音に飢えていたのだ。一つひとつの楽器の音が溶け込み、会場全体が一つの楽器のように響きだす。
これだ、これだ、
知らず知らずのうちに演奏に惹きこまれていく感じ。たぶん私だけでなく、会場の大部分の聴衆がそうだったに違いない。軽い躁状態。テンションが上がり、自分でも興奮しているのがわかる。
きっとそういう客席の興奮状態というのは弾いている人にも伝わるのだと思う。プログラムが進んで行くに従って、おそらく演奏されている方のテンションもどんどん上がっていっているはずだ。それが客席にも伝わってさらに興奮を煽る。小さな会場は、会場全体がひとつの楽器となって響くとともに、会場全体がひとりの演奏者になっている。
ものすごいライブ感
思わずスタンディングオベーションで拍手したくなる。
学校のクラブ活動などであれば、そういう演奏会の機会が必ずあるものだが、大人になってそういう機会があるというのは、ほんとうに得難いことだと思う。まず、人に聴かせるだけの技術、同じ分野に興味を持っておられる方とのつながり、「やろう」と声をかけてくれる人、練習場所の確保、演奏会の準備、そういった諸々をやってくれる人、そして聴いてくれる人。そういうことがすべて満たされて、初めてステージに立てるのだと思う。
それだけでなく、少人数とはいってもこれだけの人が一堂に会して練習するというのは、それぞれ仕事を持っておられることを考えると大変なことだと思う。けれど、その大変さを押して、多くの時間を共にし、どんな演奏をしたいのか、何を目指すのかといういろんな思いをシェアしているからこそ、こんなレベルの演奏が出来るのだと思う。見ていて、ステージの上の人はみんな羨ましかったし、こうしていつまでも続けてほしいと心から思った。
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