長い間、準備してきた発表会が終わった。もういつも同じことしか言わないが(言えないが)楽しかった。上手に弾けたかと言えば、毎度これも同じで、練習で弾けたり弾けなかったりするところは本番では弾けない。練習で何度やっても弾けないところが本番で突然弾けるようになることもない。ただ、練習では弾けていたのに本番でやらかした、というような失敗は最近なくなった。それだけ人徳が見についたということか。あとは技術だな。
今回は、いつものスタジオの発表会ではなくて、スタジオの先生の発表会。先生が別の教室で教えてられる子供たちや大人も参加する。ヴァイオリンの先生なので、楽器は弦楽器ばかり。会場は、いつもは公民館だったり、わりと小規模なところが多かったのだが、今回は500人ぐらいの立派なホール。県立の立派なオペラハウスが隣にあるのだが、ここもなかなか立派な施設だ。ホワイエからは日本一の広さのある湖を一望できる。
発表会は11時から4時ごろまで、休憩を4回はさんでなんと5部構成。
第一部が大人中心。私の出番はここ。ソロの発表とアンサンブルの発表をした。子供たちの出番がまだなので、聴衆は少な目。まぁ、そこは多くても少なくても関係なく緊張はするし、関係なく高揚もする。
第二部からは子供たちが加わる。聴衆が一気に増える。第二部は高校生以上と思しき子供たち、というより大人と言っても差し支えない年齢なのだが、子供の時から習っている人たち、という括りで「子供たち」の方に入っている。第三部は客演に来てくださっているプロ奏者の演奏。第四部は比較的幼い子供から順番に中学生ぐらいまで。そして第五部が子供たちによるアンサンブル。生徒が弾いているのは、私以外は全員ヴァイオリンなので、アンサンブルでヴィオラやチェロが必要なところはプロの方が弾く。
5部構成とあって、最後まで聴くとなかなか聴き応えがあった。
まだ幼い子供は別にして、大人と子供のどちらがうまいかと言えば、言うまでもなく子供の方が上手い。でも、その上手さには二種類あって、
ああ、こんな曲が弾けたらいいな
と思うタイプの上手さと
ああ、こんなふうに弾けたらいいな
と思う上手さがある。どちらがよりレベルが高いかという問題ではない。教則本に載っているようなお馴染みの曲でも、「わぁ」と思わせる弾き方もある。その曲を弾きたいという訳ではないが、とにかく演奏には引き込まれる。難しい曲をヒラヒラと弾いているのも、もちろんすごいと思うし、羨ましいのだが、なかには「長いなあ」と感じさせてしまう演奏もないわけではない。自分はこっちのタイプで、しかも上手くもないので、偉そうに言える立場ではないが。
最後に弾いた小学校四年生の女の子は、その両方を兼ね備えていて、10分近い、それもかなり難易度の高い曲を弾いていたのだが、まったく飽きさせない。グイグイと演奏に引き込まれていく感じがする。こんなふうに弾くために必要なのは、はたして技術なのか、人徳なのか。自分にはまだまだどっちも足りないな、と思った一日だった。
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