アンサンブルの本番に向けて練習を始めてから3か月。本番までの日程の8割ぐらいを消化した。全体の8割ぐらいは弾けるようになった感じなのだが、まだ弾けない残りの2割を、残りの2割の日程で消化できるかというと覚束ない感じだ。私はこれを「パレート8:2の法則」と言っている。
パレートは19世紀末から20世紀にかけて活躍したイタリアの経済学者で、所得分布の統計的観察から「パレートの法則」という法則を見い出した人で、私が理解している範囲ですごく簡単にいうと、世の中、2割の金持ちが8割の富を独占していて、残りの2割の富を8割の人間が分け合っているというものだ。
これを応用して、世の中、8割の成果を挙げるためには2割の努力で済むが、残りの2割の成果を挙げて仕事を完成させるには8割の努力が必要だという経験則にを「パレート8:2の法則」と言うことにした。
要領のいい奴は、だいたいできたところで「もうほぼ完成です」と言って上司を満足させ、あとは深追いせずに、もうそこで出来たことにしてしまう。効率性からいうとこれも非常に合理的な方法だ。
しかし、仕事の内容によっては、8割では許されないものもある。だいたいできたところで「あとはよろしく」と頼まれて、完成させるまでさんざん苦労しているのに、自分の成果にはならない、という苦労を経験しておられる方も多いことだろう。
しかし、世の中、この2割が大事なのだ。
いま佳境を迎えている高校野球でも、そこそこに練習をしていれば8割ぐらいの打者をアウトにすることはできる。残りの2割をアウトにできるかどうかで勝負が決まってくる。
アンサンブルでも、比較的簡単なところとか、ユニゾンのところとか、あまり自分が目立たないところは、少し練習すれば弾けるようになるのだが、パートソロのところとか、ここは聴かせどころ、というフレーズに限って、いくら練習しても弾けるようにならない。そこさえ弾ければいいのに、と思うのだが…。
とは言っても、やはりある程度弾けるようになると練習も面白くなってくる。
最初のうちは、いくら練習しても先が見えなくて、1時間続けて練習するのが苦痛だったのだが、最近は2~3時間があっという間に過ぎてしまう。まず、レッスンで指導いただいたように、付点音符のところとか大移弦とかをゆっくりと練習。それから録音に合わせて弾く練習。そして弾けなかったところをもう一度。そんなことで1時間。これを3曲分。練習しても練習しても、弾けないところはなかなか弾けるようにはならないというのは、最初のころと同じなのだが、それでも、「ここさえ弾ければ」と思うと、自分を奮い立たせることもできる。
盆休みの間にもうすこし完成度を上げたいところだ。
2015年8月10日月曜日
Marcello
正直に言うといままで名前を知らなかった作曲家なのだが、この曲は知っていた。
ちゃんと弾くとこうなる。
映画音楽に使われて有名になったらしいのだが、私はイージーリスニング(この言い方も旧い響きだが)で聴いて覚えている。
いま、アンサンブルで課題になっている曲は、ずっと苦労しているブランデンブルクときのうの記事で紹介したテレマン、そしてこの曲だ。その中でこの曲がいちばん短く、譜面はいちばん簡単そうに見える。
しかし、聴いてもらった通り、音色は結構微妙な(趣深く、何ともいえない美しさや味わいがあること。また、そのさま。みみょう。コトバンクに掲載されたデジタル大辞泉より)ものを要求される。ブランデンブルクやテレマンのように、リズムや速さで適当に誤魔化しながら弾くことが出来ない。
まず初っ端。主役のオーボエはお休みで、弦楽器がユニゾンで弾くところなのだが、先生曰く、この4小節でソロのやる気が決まる、という恐ろしいフレーズ。
問題なのは随所にある大移弦 ※隣の弦じゃないところに移弦することね。
どうしても、ギッコッ!となってしまいがちだ。前回の練習で何度もNGがでた。アンサンブル練習も、譜面通りに弾ければいい、あるいは弾けているように聴こえたらいい、というところから一歩先に進んでいる。こっちとしては、ブランデンブルクにかなり気を取られて、まだ譜読みも怪しいのだが・・・
そういう状況だと、どうしても「早く周りに追いつきたい」という思いから、基礎練習が疎かになりがち。練習のときの録音を聴きながら、それに合わせるというような練習をしていると、速さだけは合わすことが出来るのだが、音色を合わせることが出来ない。
そこで先生のアドバイス。
ゆっくり弾きましょう
速く弾くのはアンサンブルのときだけ。ひとりで練習するときはゆっくり弾くのですよ~、ということだ。大きく移弦をすると音色は崩れがち。まず、移弦前と移弦後のちょうど間ぐらいのところで右肘を固定しておいて、手首の形に気を付けながら、肘の先を出来るだけ小さく動かして移弦する。弓を返すところは慌てないで、弦の上にしっかり弓が載ってから動かし始める。自分一人の練習だから、他の人とリズムがあっていなくても構わない。
ゆっくりでこれが出来るようになったら、速く弾いても出来るはず、ということだ。
そして第三楽章の最初。ここもオーボエ以外で音を出しているのはヴィオラだけ。
アンサンブル練習でここは開放弦禁止令が出てしまった。
他の箇所で出ていないのが不思議なんだが、ま、そこは先生もあまりハードルを上げるととんでもないことになるのは分かっておられるので、あまり無理は仰らない。しかしここだけは開放弦はダメ。
じゃ4指でということになると、それはそれでまたたいへん。音程は定まらないし、音色は崩れるし。
そこで先生の指示はサードポジションで、ということなのだが、これがまたたいへん。なんと、うちのアンサンブルのヴィオラ担当は、全員、サードポジション忌避気味だということが判明。特にG線やC線のサードポジションは指が遠い。
そこを何とか弾くと、もうそこで力尽きてしまって、そのあとが続かないという始末。
むむ…、譜面は簡単でもなかなかスッとは弾かしてもらえない。
ちゃんと弾くとこうなる。
映画音楽に使われて有名になったらしいのだが、私はイージーリスニング(この言い方も旧い響きだが)で聴いて覚えている。
いま、アンサンブルで課題になっている曲は、ずっと苦労しているブランデンブルクときのうの記事で紹介したテレマン、そしてこの曲だ。その中でこの曲がいちばん短く、譜面はいちばん簡単そうに見える。
しかし、聴いてもらった通り、音色は結構微妙な(趣深く、何ともいえない美しさや味わいがあること。また、そのさま。みみょう。コトバンクに掲載されたデジタル大辞泉より)ものを要求される。ブランデンブルクやテレマンのように、リズムや速さで適当に誤魔化しながら弾くことが出来ない。
問題なのは随所にある大移弦 ※隣の弦じゃないところに移弦することね。
どうしても、ギッコッ!となってしまいがちだ。前回の練習で何度もNGがでた。アンサンブル練習も、譜面通りに弾ければいい、あるいは弾けているように聴こえたらいい、というところから一歩先に進んでいる。こっちとしては、ブランデンブルクにかなり気を取られて、まだ譜読みも怪しいのだが・・・
そういう状況だと、どうしても「早く周りに追いつきたい」という思いから、基礎練習が疎かになりがち。練習のときの録音を聴きながら、それに合わせるというような練習をしていると、速さだけは合わすことが出来るのだが、音色を合わせることが出来ない。
そこで先生のアドバイス。
ゆっくり弾きましょう
速く弾くのはアンサンブルのときだけ。ひとりで練習するときはゆっくり弾くのですよ~、ということだ。大きく移弦をすると音色は崩れがち。まず、移弦前と移弦後のちょうど間ぐらいのところで右肘を固定しておいて、手首の形に気を付けながら、肘の先を出来るだけ小さく動かして移弦する。弓を返すところは慌てないで、弦の上にしっかり弓が載ってから動かし始める。自分一人の練習だから、他の人とリズムがあっていなくても構わない。
ゆっくりでこれが出来るようになったら、速く弾いても出来るはず、ということだ。
第一楽章の終盤に差し掛かるところ。動画では1分12秒ぐらいからのこのフレーズも、ヴィオラの微妙な弓さばきが求められる。主役のオーボエを引き立たせるように、そしてもの哀しい雰囲気を醸し出すように、静かに、しかし針のような細い線が確実に観客席に届くように弾く。
だいたいフォルテは何も考えずに思いっきり弾けばいいのだが、ピアノは難しい。「弱く」ではない。「小さく」でもない。弓を軽く持って「フニャフニャー」と弾くのではなく、しっかり弦に重みを乗せながら、少し弓を倒して弦に触れる毛の面積を少な目に、そして指板寄りを弾くことで音量は控えめに、しかし鋭さを保って、音を短く切りながら弾く。
むむ…、譜面通りに弾くだけなら簡単なのだが…。
そして第三楽章の最初。ここもオーボエ以外で音を出しているのはヴィオラだけ。
アンサンブル練習でここは開放弦禁止令が出てしまった。
他の箇所で出ていないのが不思議なんだが、ま、そこは先生もあまりハードルを上げるととんでもないことになるのは分かっておられるので、あまり無理は仰らない。しかしここだけは開放弦はダメ。
じゃ4指でということになると、それはそれでまたたいへん。音程は定まらないし、音色は崩れるし。
そこで先生の指示はサードポジションで、ということなのだが、これがまたたいへん。なんと、うちのアンサンブルのヴィオラ担当は、全員、サードポジション忌避気味だということが判明。特にG線やC線のサードポジションは指が遠い。
そこを何とか弾くと、もうそこで力尽きてしまって、そのあとが続かないという始末。
むむ…、譜面は簡単でもなかなかスッとは弾かしてもらえない。
2015年8月9日日曜日
付点音符
難曲ブランデンブルクはなんとかカタチになってきた。弾けるところに印をするより、弾けないところに印をする方が楽になってきて、あとはその弾けないところのうち「もうここは弾かない」とあきらめるところと、「ここはなんとか弾かなくては」と踏ん張るところを峻別するところまで来た(キリッ!
それで今月は、そのブランデンブルクのために後回しにしてきた他の課題曲を中心に、ブランデンブルクと同じレベルまでなんとか持って行く。
ブランデンブルクは、ヴァイオリンが弾いているメロディがそのままヴィオラやチェロにまで降りてくる。同じ旋律がいろんなところからカタチを変えて現れてくるのが楽しい曲だ。しかも人数の少ないヴィオラが3パートに分かれる。私のパートにはちゃんと弾ける人が他におられるので、さっきみたいな甘々の目標でもなんとかなりそうなんだが、他の曲に比べるとヴィオラ泣かせの曲だ。
そんな訳で他の曲は後回しになっていたのだが、そろそろそうとばかりも言っていられなくなってきた。
まずはTELEMANN。
ヴィオラ弾きとしてはト長調のヴィオラコンチェルトで有名な作曲家だが、今回弾くのは「Ouvertuere "La putain"」。これもト長調で、軽快な明るい曲だ。
この曲を弾くにあたって課題なのが付点音符。バッハやヴィヴァルディにはそれほど出てこないのだが、テレマンにはやたらに出てくる。
写真は付点音符の多いところを抜き出しているのだが、ご覧のとおり、付点四分音符と付点八分音符が、まるで付点音符のエクササイズのように出てくる。この付点音符のリズムがなかなか取れない。アンサンブルで弾いていて、まわりとタイミングがあっていないのは分かるのだが、自分が早いのか遅いのかがよく分からない。
最近、レッスンの方もアンサンブル曲ばかりを見ていただいているので、今日のレッスンでは、この付点音符の練習の仕方を教授してもらうことにした。
まず、感覚で弾かないこと。
えーーーーーー、そうなんですか。
私は感覚で弾くものだと思っていました。例えば、スキップをしながら弾くとか、いやスキップしたら弾けないから、せめてスキップしながら歌って、リズムを身体で覚えたうえで弾くとか、そういうものかと思っていたのですが、さに非ず。
付点八分音符が出てくるところは32分音符に分解して、タタタたタタタたタタタタタタたぁ と弾いてみる。アンサンブル練習のときは「ゆっくり」という訳に行かないから、普段ひとりで練習するときにしっかりそういう練習をしておく。その練習で躓くところは、スピードが上がったときにも必ず躓く。だから、まずはゆっくりの練習で躓かないところまで練習する、という訳だ。
はい。王道ですね。
ブランデンブルク以外の曲も、「こういうところがいい」というところはそれなりに難しい。ブランデンブルクほどヴィオラ泣かせではないにしても、けっして甘くはないようだ。
それで今月は、そのブランデンブルクのために後回しにしてきた他の課題曲を中心に、ブランデンブルクと同じレベルまでなんとか持って行く。
ブランデンブルクは、ヴァイオリンが弾いているメロディがそのままヴィオラやチェロにまで降りてくる。同じ旋律がいろんなところからカタチを変えて現れてくるのが楽しい曲だ。しかも人数の少ないヴィオラが3パートに分かれる。私のパートにはちゃんと弾ける人が他におられるので、さっきみたいな甘々の目標でもなんとかなりそうなんだが、他の曲に比べるとヴィオラ泣かせの曲だ。
そんな訳で他の曲は後回しになっていたのだが、そろそろそうとばかりも言っていられなくなってきた。
まずはTELEMANN。
ヴィオラ弾きとしてはト長調のヴィオラコンチェルトで有名な作曲家だが、今回弾くのは「Ouvertuere "La putain"」。これもト長調で、軽快な明るい曲だ。
この曲を弾くにあたって課題なのが付点音符。バッハやヴィヴァルディにはそれほど出てこないのだが、テレマンにはやたらに出てくる。
写真は付点音符の多いところを抜き出しているのだが、ご覧のとおり、付点四分音符と付点八分音符が、まるで付点音符のエクササイズのように出てくる。この付点音符のリズムがなかなか取れない。アンサンブルで弾いていて、まわりとタイミングがあっていないのは分かるのだが、自分が早いのか遅いのかがよく分からない。
最近、レッスンの方もアンサンブル曲ばかりを見ていただいているので、今日のレッスンでは、この付点音符の練習の仕方を教授してもらうことにした。
まず、感覚で弾かないこと。
えーーーーーー、そうなんですか。
私は感覚で弾くものだと思っていました。例えば、スキップをしながら弾くとか、いやスキップしたら弾けないから、せめてスキップしながら歌って、リズムを身体で覚えたうえで弾くとか、そういうものかと思っていたのですが、さに非ず。
付点八分音符が出てくるところは32分音符に分解して、タタタたタタタたタタタタタタたぁ と弾いてみる。アンサンブル練習のときは「ゆっくり」という訳に行かないから、普段ひとりで練習するときにしっかりそういう練習をしておく。その練習で躓くところは、スピードが上がったときにも必ず躓く。だから、まずはゆっくりの練習で躓かないところまで練習する、という訳だ。
はい。王道ですね。
ブランデンブルク以外の曲も、「こういうところがいい」というところはそれなりに難しい。ブランデンブルクほどヴィオラ泣かせではないにしても、けっして甘くはないようだ。
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