2013年10月20日日曜日

ヴァイオリンのメンテナンス

 しばらくヴァイオリンを弾かないので、この機会にメンテナンスに出そうと思った。実は製造されて23年になるのだが、メンテナンスらしいメンテナンスは一度も受けていない。先生から弦高が高すぎると言われて駒を調整していただいたのと、バヨ会のメンバーに「調弦がしやすくなる」といわれてペグの調整をしていただいたぐらい。もちろん、弓の毛替えは何度かしているし、今年の正月には弓を折ってしまって修理もしていただいている。そのたびに、工房の職人さんには本当に丁寧に見ていただいているので、まったくメンテナンスをしていないという訳ではないのだが、最近は表面に細かいひび割れがあったりして、ちょっと気になってきたところだった。

 工房は、ある県の県庁がある街の、私鉄のターミナル駅が面する交差点に、駅の向かい側で面する3階建の雑居ビルの中にある。職人さんがひとりで切り盛りされている小さな工房だ。

 訪ねて行ったときには他のお客さんがおられて、ヴィオラのメンテナンスをお願いされていた。どうやらン百万円もするクレモナ製のヴィオラらしい。お話しを横で聞きながらしばらく待つ。私のヴァイオリンは、カールヘフナーの初級モデル。2丁並べたら、ホンダFitとイタリア製スーパーカー ランボルギーニアヴェンタドールが並んでいるようなものだ。いや、Fitいいですよ。大好きです。いや、でもこんなクルマ、いっかい乗ってみてーよなぁ。それはさておき、ン百万円もするクレモナ製のヴィオラもいっかい弾いてみたいものです。

 話を私のヴァイオリンに戻して、このクラスのヴァイオリンだと、接合は、膠ではなくボンドが使われていて、滅多なことでバラバラになったりはしないそうだ。ただ、接合が剥がれてしまうと、部材の奥まで浸透しているボンドを取り除くのはものすごく困難で、それを取り除かないまま膠で着けようとしても、その膠が部材に浸透しないので付けられない。ま、直接そうは仰いませんでしたが、そうなったら終わりです、ということのようだ。
 ヴァイオリンの部材は、どの部材を木材のどの部分からどのように切り出すかがだいたい決まっていて、竿の部分は、糸巻の方が木の上側、筐体と接合するネックの部分が根側になるらしい。木材は、横方向よりも縦方向に水分を吸収しやすく、こうすることで、いちばん力が加わるネックの部分を接合する膠が部材の奥深くまで浸透して、接合の強度を保てるようにしているという。

 さて、気になっていたひびだが、本体が割れるようなひびではないとのことだった。本体が少しずつ乾燥して僅かに小さくなることで、表面に塗ったニスに歪みが出来てひびが入っているらしい。もしかすると、何かの弾みでニスが割れて剥がれるかもしれないが、その時は「ん~」。その時はその時に考えよう。

 前にも言われていたかもしれないが、コマに歪みがあって、左右の足が表板にちゃんと接していない。右足をぺったりと表板に付けると左足が浮いてしまう、という状態になっている。ぺったりとついていないと、弦の振動を表板にしっかり伝えることが出来ない。そうか、思うような音が出ないのはやっぱり楽器の所為だったのか、楽器に責任転嫁。
 弦が駒に食い込んでしまうと、これも音に影響するので、駒の上の面を少し削っていただいた。

 入院するつもりで持ってきたのだけれど、目の前で見ていただけたので、そのまま持ち帰ることができた。

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