だいたい、「力を抜いて」といわれると、力を抜こうとしてそこに力が入ってしまう。例えばネットの画面に
このボタンは 押してはいけません |
と書いてあると押したくなるのと同様で、これはどうもヴァイオリンだけではないようだ。知人に趣味でレースをやっている人がいる。ちゃんとサーキットでやっている人なので、公道では至って安全運転。見た目は真面目な好青年といったところなのだが、それはさておき、ヴァイオリンとはまったく違う世界でも、やはり「力を抜く」ということが大切なシーンはあるようで、例えばカーブに突っ込むときのブレーキワークとかハンドルの操作とか、そういう場面でも変に力が入っているときは、遠くから見ていても分かるらしく、いかに力を抜いているかが大事らしい。
クルマのことはさておき、レッスンで見ていただいているバッハのドッペルなのだが、こっちの方は変に力が入っていることが見た目にも音にもはっきり出てくる。例えばファーストヴァイオリンのソロの部分
A線を飛び越えてD線とE線で移弦を繰り返すところをかっこよく弾きたいところなのだが、そこに力が入りすぎると、ギロギロっと余計な音が鳴ってしまう。弓を軽く横に運ぶだけでいいのだが、「はずむように」と意識して最初に圧がかかってしまう。弓をしっかり止めようと思うと、止めるときにブルブルっと震えてまた余計な音がする。移弦の時に他の音を出さないようにと、またここでも力が入る。しっかり移弦をした後で次の音を弾きなさいと言われると、急いで移弦しようとしてまたよろしくないことになる。
とまあ、こんな具合なのだ。
力を抜くためには、何かほかのことを考えながら弾くのがいいのだが、先生、そういう時は何考えているんですかぁ?
0 件のコメント:
コメントを投稿