2024年11月16日土曜日

アマチュア・アンサンブルの衝撃的演奏

 今日は隣町の立派なコンサートホールで、アマチュア・アンサンブルの演奏を聴いてきた。たまたま見つけて聴きにいったのだが、今回が初めての演奏会だそうだ。ヴィヴァルディの調和の霊感9番ニ長調、以前に弾いたことのあるエルガーの弦楽セレナーデなど、私にとっては珠玉の選曲。

 私自身がヴィオラを弾くので、どのアンサンブルでもとにかくヴィオラに目が行きがちなのだが、今回はもうヴィオラから目が離せない。アンサンブルを指導なさっている先生がヴィオラのトップで、とにかく全身で楽しそうに演奏をされる。少人数なので、なんとなく誰の音なのかもわかるのだけれど、とにかくこの先生の音が良く通る。調和の霊感ではヴァイオリンに持ち替えてソロを演奏されたのだが、これがもういい意味で
破天荒!
普通だったら「楽譜通りに弾きましょう」なんて言われそうなのだけれど、そしてもちろん楽譜通りに弾けるからこそこうしておられるのだろうけれど、「あれ、そこ装飾音ありましたっけ」「そこ重音でしたっけ」みたいな、およそクラシックの演奏とは思えないような、まるでジャズの即興演奏のような演奏。TuttiになってもまるでSoloのような演奏。もう聴いていて、楽しくて仕方がない。ステージの上からビームのように楽しさが伝わってくる。気が付いたら自分が笑っている。終盤に向けて演奏はますます盛り上がっていく。最後の2小節ぐらいで、もう腕は拍手をする準備万端。それも自分の顔より高い位置。最後の音だ。弓が止まった。その弓を高く掲げた。もう堪らなくなって拍手を送る。

 エルガーの弦楽セレナーデも、実はヴィオラが結構活躍する。そして難しい。他の曲もヴィオラ成分が多めの積極のように思えた。それは単に先生の演奏がそう思わせているのかもしれないが。とにかくCDやYouTubeでは聴けない演奏だった。知っている曲なのに、いままで聞いたこともない演奏。きっと同じ曲を同じメンバーでもういちど弾いても、同じ演奏にはならないのだと思う。

 先生の演奏だけではなくて、メンバー全体のやりたいことが良く見えてくる演奏だったと思う。上手くは言えないけれど、演奏の技巧とかそんなことではなくて、こういうことを伝えたいのだ、ということが良く伝わってくる。とにかく衝撃的だった。

 また聴きに行きたい。