2022年4月10日日曜日

図々しさも成長のうち

 スタジオ創立20周年の節目の発表会が終わった。温かくて居心地の良い発表会だった。

 自分の発表は、というと、ひとことで言えば楽しかった。

 曲目は先月の発表会と同じ。

 まずパッフェルベルのカノン。これがいちばん無難にできた。いつものスタジオと違って、会場が広いので、ほかの奏者が遠い。けれど、これはチェロがばっちりリズムをとってくれるので、とにかくチェロさえ聴いていれば大事には至らない。

 続いてバレンティーニの幻想曲。これは先月の発表会で拍を掴めずに沈黙してしまった曲だ。チェロはなくて、ヴィオラがチェロパートを弾く。チェロさえ聴いていればなんとかなるパッフェルベルと同様なら、ヴィオラさえ聴いていれば何とかなるはずなのだが、パッフェルベルと違って途中に2小節ぐらいの休符が何箇所かあって、そこから復活するところで拍が取れなかったりする。上のパートは楽譜が多くて本番はどうしても走りがち。そこで拍を取ろうとしても取れないこともあるということがわかったので、今回は何が何でも弾くと決めて、休符の間はほかのパートを聴かずに自分で拍を取る。思わず声を出してしまいそうになるが、とにかくちゃんと入れた。最後が合ったので、たぶんちゃんとリズムはあっていたはず。

 最後はソロ。長丁場の発表会も終わり掛け。最後から3番目の出番だったのだが、いきなりから間違えてしまう。

すんません。もういっかい。

何回も発表会に出ていると、こういう図々しさも身につけてくる。何年か前なら、もうそこで頭の中が真っ白になってしまったところなんだが。

 これを成長と言ってしまっていいのかどうか。

 ま、しかし、上手なところを見てもらう訳ではなくて、楽しんでいるところとか、満たされているところとか、そういうのを見てもらえるといいと思うので、これぐらいはご愛嬌ということで許してもらおうか。

 発表会の間はテンションが上がっていたのだが、終わってみるとバタンキュー。まるで小学生が運動会や遠足でエネルギーを使い果たすかのような、とにかく楽しい一日だった。

スタジオ20周年発表会

 コロナ騒ぎでしばらく出来ていなかったスタジオの発表会が4年ぶりにあった。もともと2年おきに実施されていて、ちょうど前回2021年がコロナ騒ぎでできなくて4年ぶりとなった。今年はスタジオ創設20周年ということで、主催者側としてもどうしてもやりたかったところだと思う。もちろん生徒も大歓迎だ。

 出てくる楽器はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのほかに、ピアノ、サックス、クラリネット、マリンバ、ジャズヴォーカルと相変わらず多彩だ。以前はフルートやトランペットもあった。弦楽器はアンサンブルレッスンもあるので、ソロの発表のほかにアンサンブルの発表もある。プログラムを見ると、サックスは打楽器やベースをいっしょにセッションをされているし、マリンバも先生とのコラボあり、ヴォーカルとのコラボありと、楽器だけでなく楽器編成も多彩だ。クラリネットのアンサンブルもある。

クラリネットもアンサンブルをされるんですね。

と訊くと、いや、プログラムみたら、ほかの楽器がいろいろ面白そうなことやっているし、クラリネットもやらなあかんと思って、ということだった。20周年だからという訳ではないが、こうやってみんなちょっとずつ、いろいろ花を添えようとされている。

 午前中からステージでのリハーサル。2時開演。まず子供の部があり、それから写真撮影。大人の部は3部構成で、2部と4部が楽器の演奏、3部はジャズヴォーカルという構成。終わったのは6時半という長丁場。

 他の楽器をされている方とは、こうして発表会の時にしかお会いしないが、何回か見ているとお人柄もよくわかる(ような気がする)。マリンバを弾かれる高齢の女性の方の演奏(ベートーヴェンのスプリング・ソナタだった)を聴くと、とても柔らかくて、包まれるような感じ、もうひとりのマリンバの男性は、いつもなにか盛り上げてくださる。この方は、さだまさしのファンで、今回は満を持して「北の国から」の挿入歌を弾かれていた。なんでもアレンジにこだわりがあって、プロのアレンジャーにお願いして(もちろんおカネも出されているのだと思う)マリンバ用にアレンジしていただいたのだという。

 いつもなら、終わった後に打ち上げがあるのだが、時節柄それはなく、何人かの方を昼食に誘うぐらいしかできなかったが、互いの近況を報告し合いつつ、スタジオへの愛を語り合う。他の楽器の講師の先生も、私のことをよく覚えてくださっていて、何かと気にかけてくださる。本当にこうして発表会ができてよかったと思う。

 会場にはこれまでの発表会の写真が掲示されていて、第1回の発表会の写真には、当時まだ3歳だったうちの娘も写っていた。自分の写真を見てもあまり変わり映えはしないが(他人が見れば老けたのかもしれない)、子供の20年は大きい。もうその娘が23歳なのだから。ご夫婦でされておられる小さなスタジオなので、最近では、もういつまで続けられるかわからない、などと仰ることも時々あるのだけれど、生徒としてはいつまでも続けてほしいし、スタジオを続けておられる限りレッスンも続けていこうと思う。