アンサンブルに入るといろんな経験ができるもので、今回も楽しい経験をしてきた。
いつも指導してくださる先生は、あちらこちらで大学の学生やら、私たちのような素人アンサンブルの指導をされておられるのだが、そのひとつに保育園での指導があるそうだ。そこの保育園では、何歳かになったら全員がヴァイオリンのレッスンを受けることになっているらしい。希望者だけ、ではなくて全員だそうだ。
それで、地域の結構立派なホールを借りて、年に1度、発表会と演奏会の間ぐらいのイベントがあって、それのお手伝いにいつも馳せ参じることになっているらしい。私はもちろん初参加だ。
園児たちの演奏は、本当に元気がいい。もちろん、そんなに難しい曲が弾けるわけではないのだが、舞台袖で聞いていても、とても元気がいいのが分かる。おそらく、失敗したらどうしようとか、上手に弾かなければ、などといった邪念がないから、あういう音が出てくるのだと思う。
保育園でヴァイオリンを習えば、卒園してからも続けるという子供も多い。卒園児たちの発表会のようなステージもある。発表会でお馴染みの曲が何曲か続く。低学年の子供たちの演奏は、舞台袖で思わず「がんばれ」と力が入ってしまう。中学生ぐらいになると、さすがに貫禄だ。チゴイネルワイゼンを弾いていた子もいたが、舞台袖で聴いていた大人たちはたぶん一生この曲を弾くことはないだろう。
私たちの演奏は、子供たちの歌の伴奏が主。前に数十人の子供たちが並べば、客席で私たちを見ている人はいない。トトロの歌、ミッキーマウスの歌、集まれファンファンファンなど、これもお馴染みの曲ばかり。保育園の先生もいっしょに弾くのだが、園児の相手はしなければいけないし、自分の演奏もしなければいけないし、大量にあるちっちゃいヴァイオリンの調弦もしなければいけないのは、結構、ハードワークだと思う。それにしても、こうして、小さいときからヴァイオリンを弾く機会があれば、別に芸大に行ってプロの演奏家になるとか、そういうことじゃなくても、人生の幅が大きく広がると思う。この前の定期演奏会のときもそうだったけれど、この日も何人かの大学生が演奏に来ていた。そうそう、そういうことが出来るかもしれない。なんとも羨ましい。