2017年9月16日土曜日

アンサンブルの楽しみ方

 アンサンブルのメンバーになるといろいろな楽しみがあるものだ。すぐに思いつくのは仲間との飲み会だが、うちのアンサンブルに限るとあまりそういう機会はない。練習が木曜日の夜で、クルマで来る人も多く、終わったらさっさと帰るというのがスタンダード。いやしかし、楽しみ方はいろいろあるというのを実感している。

 まず楽譜の管理。これはいちおう、ライブラリアンというひとがいて管理されている。一年の半分しか活動に参加できない自分としては、そこはあまり関われないのだが、原版が古くて不鮮明なものや、手書き譜で読みにくいものをメンテナンスするというようなことなら、期間限定団員にもできる。幸い少し長めの夏休みがあり、時間もあったので、書き込みのある古いスコア譜をもとに演奏していた曲のパート譜を作成したり、指導してくださる先生の手書きの編曲譜をフリーソフトを使って写譜したりといったことをやった。
 これはずいぶん歓迎された。
弾きやすい。
これで弾いたら上手になった気がする。
などとお褒めをいただいた。これでみなさんが1割り増しぐらいで弾けるのなら、その時間、私が練習時間を削ったことによって1割後退しても、全体としてはレベルが上がるはず。

 もうひとつは、プログラムの曲紹介を書くこと。
 といっても、和声がどうだとか、対位法がナンチャラだとか、そういう難しいことは書けない。曲紹介を書くにあたってやったのは、図書館に行って、モーツアルトとエルガーの
女性関係を徹底的に調べる
こと。今回、演奏する曲は、それぞれ作曲家が何歳の時に書いたものか。そして、そのとき彼は誰に思慕の情を抱き、誰を口説き落とす目的でこの曲を作ったのか。
 図書館の「音楽」の書架に行けば、モーツアルトに関する本は何冊もある。モーツアルトの曲を1曲ずつ解説した「モーツァルト全作品事典」(音楽之友社, 2006)、モーツアルトと交流のあった人についての解説まで掲載されている「モーツァルト大事典」(平凡社, 1996)、全6巻からなる書簡集などのほか、事典類も充実している。いちばん参考になったのは、高橋英郎「モーツァルトの手紙」(小学館, 2007)。参考になる資料も多いが、調べてみると、出るわ出るわ、女性関係が。噂に違わぬ相当なチャラ男だったようだ。
 一方でエルガーの方は愛妻家で通っているのだが、これも調べていくとちょっと怪しい。そもそもセレナーデというのが異性を口説き落とすための曲と言えなくもないのだから、結婚後に書くには、大人の都合で簡単には一線を越えられない誰か意中の人がいるか、あるいはそういうことを妄想しながらでなければ、ロマンティックなセレナーデにはならない。そして、そのセレナーデをロマンティックに弾くには、演奏者も同じように妄想しながら弾く必要がある(キッパリ。

 そんなわけで、ずいぶん時間をかけて、超大作を書き上げたのだが、こっちの方は、あるいはその時間、練習しておく方がよかったかも。いや、演奏のレベルは上がらないかもしれないが、聴きに来ていただいたお客さんの満足度は、この曲紹介で1割ほどアップするかもしれないから、やっぱり貴重な貢献だ。

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