2年に一度の「大人の発表会」。楽器が違えども、それぞれ音楽を愛する人同士なので、他の人の演奏も全部聴こうと決めて、20人ぐらいの演奏を聴いた。いよいよ自分の出番だ。
リハーサルでやった通り、アンクタクトで弓を振ってピアノの先生に合図するところまでは良かった。そのあと2拍目の上げ弓から始まるから、振った弓の先弓を弦に付けて待たないといけないところ、間違って元弓を付けてしまう。
あっ
と思ったけれど、当然やり直しは利かない。いままでだと、これで頭が真っ白になって一気に崩れていってしまうところなのだが、今年はそれでも落ち着いていた。その落ち着いている自分を見ている自分がいて、
お、お前、意外と落ち着いているじゃん。
なんてことを思っている。第一楽章はいままでの発表会ではなかった緩楽章。ゆっくりしたテンポでしっくりと聴かせる。レッスンではそこまでご指導いただく余裕はなかったのだが、自分なりに、ここは細い音色から入ってだんだん膨らますとか、ここは力強くとか、ここは伸ばしている間に膨らまして次の音を弾きだすとか、ここは目を閉じて顎を振りながら弾くとか、いろんなことを随所で考えていた。そのいくつかは実際にできた。最初に大失敗をしてそれだけできたのだから上出来だ。
第2楽章は安全運転。ついスピードが出がちなところをしっかり抑えて、そのあとの急カーブで飛び出してしまわないように。これもある程度はできた。ただ、スピードは出ていないのに縁石に乗り上げたり、車庫入れで擦ったりと、ボロボロではあったのだが。
でもそういうところで立ち止まることはできない。なにせ本番なのだ。ピアノ伴奏はヴィオラにはお構いなしにどんどん先へ進む。ここは無茶をして伴奏音源に合わせる練習をした甲斐があった。1小節か2小節を休符の振りをして、その次から何事もなかったようにピアノに合わせて弾き始める。おかげで最後まで止まることなく(?)弾き終えることができた。娘がまだ小さい頃に発表会前に言い聞かせたお約束のひとつ
間違えても最後まで弾くこと
が実践できた。
オリンピック女子マラソンで完走した福士加代子選手が、第一声で「金メダル取れなかった~」といいつつ、世界最高の選手たちと一緒に走った42.195キロを「特別な時間」と振り返ったように、「ちゃんと弾けなかった~」けど、本当に特別な時間だった。伴奏していただいたピアノの先生に感謝。辛抱強くご指導いただいたバヨ先生に感謝。発表会を開いてくださったスタジオの奥様にも感謝。とにかく完走できてよかった。
(まだ、つづく)
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